“葛籠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つづら78.2%
つゞら21.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
燈心に花が咲いて薄暗くなった、橙黄色だいだいいろの火が、黎明しののめの窓の明りと、等分に部屋を領している。夜具はもう夜具葛籠つづらにしまってある。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その時細君が取り出して来たいくつかの葛籠つづらを開けたら、種々反古やら、書き掛けたものやらが、部屋中一杯になるほど出て来た。
北村透谷の短き一生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
部屋の眞ん中に葛籠つゞらが引出してあつて、紙片が一枚、その上へ何やらおもりに載せて、二本燈心の行燈が淋しく照して居るのでした。
そして一人で箪笥や葛籠つゞらの底から、台所の隅まで一切を統制することが、結局、誰を当てにするよりも安心で興味のあることを感じてゐた。
青い風 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)