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葛籠
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つゞら
ふりがな文庫
“
葛籠
(
つゞら
)” の例文
部屋の眞ん中に
葛籠
(
つゞら
)
が引出してあつて、紙片が一枚、その上へ何やら
重
(
おも
)
りに載せて、二本燈心の行燈が淋しく照して居るのでした。
銭形平次捕物控:279 持参千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして一人で箪笥や
葛籠
(
つゞら
)
の底から、台所の隅まで一切を統制することが、結局、誰を当てにするよりも安心で興味のあることを感じてゐた。
青い風
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
古い
葛籠
(
つゞら
)
から祖父の代からのいろいろな書きつけや帳面を引つぱり出して來て見たり、古い寫眞帳をくりひろげて見たりした。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
心
(
こゝろ
)
ざすは
何物
(
なにもの
)
ぞ
葛籠
(
つゞら
)
の
底
(
そこ
)
に
藏
(
をさ
)
めたりける
一二枚
(
いちにまい
)
の
衣
(
きぬ
)
を
打返
(
うちかへ
)
して
淺黄縮緬
(
あさぎちりめん
)
の
帶揚
(
おびあげ
)
のうちより、
五通
(
ごつう
)
六通
(
ろくつう
)
、
數
(
かぞ
)
ふれば
十二通
(
じふにつう
)
の
文
(
ふみ
)
を
出
(
いだ
)
して
元
(
もと
)
の
座
(
ざ
)
へ
戻
(
もど
)
れば
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
申せし時百兩包を出して見せられ此お
講中
(
かうぢう
)
に
門跡樣
(
もんぜきさま
)
へ納る
故
(
ゆゑ
)
貸事
(
かすこと
)
叶
(
かな
)
ひ難し其代りに是を
貸
(
かさ
)
んとてお
葛籠
(
つゞら
)
を貸給ひしが其お金は如何やと申故
箪笥
(
たんす
)
の引出を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
『イヤ、何んにも』と答へたので、『それでは之を貸して上げませう。ナニお返しに成らなくても宜しい』といふので、大きな破れ
葛籠
(
つゞら
)
を出して呉れた。
硯友社と文士劇
(新字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
浅見と朱で書いた
葛籠
(
つゞら
)
も備はつてゐるやうな訳で、いろ/\よく出来てゐると思つて感心したくらゐなんだから、乱暴なぞ働かうなんかの心持ちはないんだ。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
雨戸が半ば明けられて、
昨夜
(
ゆふべ
)
吊つたまゝの
盆燈籠
(
ぼんどうろ
)
が
其
(
その
)
軒に下げてある
家
(
いへ
)
もあつた。雨戸の全く閉め切つてある
家
(
いへ
)
もあつた。
箪笥
(
たんす
)
、
葛籠
(
つゞら
)
、
長持
(
ながもち
)
、机などが見えた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
四辻の
辺
(
あたり
)
に敵の遺棄した品々を拾ひ集めたのが、
百目筒
(
ひやくめづゝ
)
三挺
(
さんちやう
)
車台付
(
しやだいつき
)
、
木筒
(
きづゝ
)
二挺
(
にちやう
)
内一挺車台付、
小筒
(
こづゝ
)
三挺、其外
鑓
(
やり
)
、旗、太鼓、火薬
葛籠
(
つゞら
)
、
具足櫃
(
ぐそくびつ
)
、
長持
(
ながもち
)
等であつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
國「孝助どん、源助どん、お気の毒だがお前方二人は
何
(
ど
)
うも
疑
(
うたぐ
)
られますよ、
葛籠
(
つゞら
)
をこゝへ持ってお
出
(
い
)
で」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こんなものが両親の眼に止まっては大変ですから、お近さんは自分の
葛籠
(
つゞら
)
の底ふかく秘めて置いて、人に見付からないようなところへ持ち出して、そっと読んでいる。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雨戸
(
あまど
)
の
中
(
うち
)
は、
相州
(
さうしう
)
西鎌倉
(
にしかまくら
)
亂橋
(
みだればし
)
の
妙長寺
(
めうちやうじ
)
といふ、
法華宗
(
ほつけしう
)
の
寺
(
てら
)
の、
本堂
(
ほんだう
)
に
隣
(
とな
)
つた八
疊
(
でふ
)
の、
横
(
よこ
)
に
長
(
なが
)
い
置床
(
おきどこ
)
の
附
(
つ
)
いた
座敷
(
ざしき
)
で、
向
(
むか
)
つて
左手
(
ゆんで
)
に、
葛籠
(
つゞら
)
、
革鞄
(
かばん
)
などを
置
(
お
)
いた
際
(
きは
)
に、
山科
(
やましな
)
といふ
醫學生
(
いがくせい
)
が
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
へツ、へツ、二十五兩と稼いだのは惡くなかつたぜ、——最初は
葛籠
(
つゞら
)
へ入れて船の中に飼つて置いたが、知合の船が
五月蠅
(
うるさ
)
くて叶はねエ。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
翻
(
こぼ
)
したり
偖
(
さて
)
も
干支
(
えと
)
のよく
揃
(
そろ
)
ひ生れとて今まで人に
示
(
しめさ
)
ざりしが
證據
(
しようこ
)
といふ品見すべしと婆は
傍
(
かた
)
への
古
(
ふる
)
葛籠
(
つゞら
)
を
明
(
あ
)
け
彼二品
(
かのふたしな
)
を取出せば寶澤は手に
取上
(
とりあげ
)
先
(
まづ
)
お
短刀
(
たんたう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それから驚いて
毘沙門
(
びしゃもん
)
様に
願
(
がん
)
がけをしたり、
占者
(
うらないしゃ
)
に見て貰うと、これは
内々
(
うち/\
)
の者が取ったに違いないと申しましたから、
皆
(
みんな
)
の文庫や
葛籠
(
つゞら
)
を検めようと思って居ります
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
葛籠
(
つゞら
)
の底に納めたりける
一二枚
(
いちにまい
)
の
衣
(
きぬ
)
を
打
(
うち
)
かへして、
浅黄
(
あさぎ
)
ちりめんの
帯揚
(
おびあげ
)
のうちより、五
通
(
つう
)
六通、数ふれば十二
通
(
つう
)
の
文
(
ふみ
)
を
出
(
いだ
)
して
旧
(
もと
)
の座へ
戻
(
もど
)
れば、
蘭燈
(
らんとう
)
のかげ少し暗きを
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
葛籠
(
つゞら
)
の
蓋
(
ふた
)
を
取
(
と
)
つたり、
着換
(
きがへ
)
の
綻
(
ほころび
)
を
檢
(
しら
)
べたり、……
洗
(
あら
)
つた
足袋
(
たび
)
を
裏返
(
うらがへ
)
したり、
女中
(
ぢよちう
)
を
買
(
かひ
)
ものに
出
(
だ
)
したり、
何
(
なに
)
か
小氣轉
(
こぎてん
)
に
立𢌞
(
たちまは
)
つて
居
(
ゐ
)
たと
思
(
おも
)
ふと、
晩酌
(
ばんしやく
)
に
乾
(
ひ
)
もので
一合
(
いちがふ
)
つけた
時
(
とき
)
、
甚
(
はなは
)
だ
其
(
そ
)
の
見事
(
みごと
)
でない
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
葛籠
(
つゞら
)
の底には彼の「春色梅ごよみ」の写本が忍んでいました。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
貸
(
かし
)
呉
(
くれ
)
候
間
(
あひだ
)
隱居
(
いんきよ
)
の
志操
(
こゝろざし
)
を感じ
入
(
いり
)
背負
(
せおひ
)
葛籠
(
つゞら
)
を預り家主を相頼み五十兩の質物に入れ外にて金三十兩
借請
(
かりうけ
)
淺草
(
あさくさ
)
へ參り荷を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
長持もあれば
箪笥
(
たんす
)
もあり、
葛籠
(
つゞら
)
もあれば長火鉢もあり、一つの床を敷く場所が精一杯、念のためにその長持や箪笥を動かして見ましたが、さすがに物持の長崎屋の道具だけに
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
死骸の這入りました
葛籠
(
つゞら
)
を捨てまして国へ帰り、是が
資本
(
もとで
)
で只今は可なりに暮して居る。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「當り前だ、
十歳
(
とを
)
や八つの子が大ダン平で
葛籠
(
つゞら
)
越しに人を殺せるわけは無いぢやないか」
銭形平次捕物控:285 隠れん坊
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
空はどんより曇って北風が寒く、今にも降出しそうな
気色
(
けしき
)
でございますので、此の間から此の家の軒下を借りて、夜店を出します古道具屋と古本屋が、大きな
葛籠
(
つゞら
)
を其処へ卸して
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
春見は人が来てはならんと、助右衞門の死骸を蔵へ運び、
葛籠
(
つゞら
)
の中へ入れ、
血
(
のり
)
の
漏
(
も
)
らんように
薦
(
こも
)
で巻き、すっぱり旅荷のように
拵
(
こしら
)
え、
木札
(
きふだ
)
を附け、
宜
(
い
)
い加減の名前を書き、井生森に向い。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
多勢ゐる前で、帶を締め直すんだとか言つて、不氣味な匕首を取出し、皆んなに見えるやうに
葛籠
(
つゞら
)
の上に置いたやうでしたが、それつきり、もとの
懷中
(
ふところ
)
へしまひ込んだのを見ませんでした。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
葛籠
(
つゞら
)
の中に隱れるのは、よくない事だね、誰も小言を言はないのか」
銭形平次捕物控:285 隠れん坊
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
男「ヘエ
葛籠
(
つゞら
)
を買って参りました」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あの
葛籠
(
つゞら
)
の中に隱れたのを、幸右衞門の娘のお信と思ひ込んだのだ」
銭形平次捕物控:285 隠れん坊
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
銘々
(
めい/\
)
葛籠
(
つゞら
)
を縁側へ出す。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
押入を開けて引出したのは、
葛籠
(
つゞら
)
が一つ、蓋を拂つて見ると、
半纒
(
はんてん
)
や
股引
(
もゝひき
)
の外は、ほんの少しばかりの着換があるだけですが、葛籠の目方が、見てくれより少し重いことに平次は氣がつきました。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラツ八は漸く
葛籠
(
つゞら
)
をハネ開けて、曲者の後から
無手
(
むず
)
と組付きます。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎が押入をあけてズルズルと
葛籠
(
つゞら
)
を引出すと
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「弱つたなア、——この
葛籠
(
つゞら
)
の中はどんなもんで」
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“葛籠”の解説
葛籠(つづら)は、元来、ツヅラフジのつるで編んだ蓋つきの籠の一種である。後に竹を使って網代に(縦横に組み合わせて)編んだ四角い衣装箱を指して呼ぶことが一般的になった。
(出典:Wikipedia)
葛
常用漢字
中学
部首:⾋
12画
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“葛籠”で始まる語句
葛籠笠
葛籠作
葛籠屋
葛籠番
葛籠造