“革鞄”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かばん85.3%
かわかばん5.9%
トランク2.9%
かはかばん2.9%
カバン2.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
第一、五紋いつつもんの羽織で、おはかまで、革鞄かばんをぶら下げて出稽古でげいこ歩行あるくなんぞ、いい図じゃあないよ。いつかもね。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
安東県の宿屋の番頭がどう云う不料簡ふりょうけんか、橋本博士御手荷物のうちと云う札を余の革鞄かばんにぴたぴたいわいつけてしまった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
義雄はその病院の前にある下宿屋の、四疊半に爐を切つてある部屋を約束した。そこへ荷物——と云つても、づツくの革鞄かばんだけだ——を運んでから、前の病院へ春雄を見舞つて見た。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
そののち、同じ二日市で榊屋さかきやの隠宅というのに引越した時に、父が私に羊羹ようかんを三キレ新聞紙に包んだのをドンゴロス(ズックの事)の革鞄かばんから出してくれた。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その跡へは大きな革鞄かばんを抱えた爺と美術学校の生徒が乗ってその前へは満員の客が立ち塞がってしまう。
障子の落書 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
小さな、今で言えばスーツケースのような格好をした黒塗りの革鞄かわかばんに、これも赤く大きく千金丹と書いたのをさげていたと思う。
物売りの声 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
眉目清秀びもくせいしゅうなる青年にてその姿やや見すぼらしきが雪の降る夕なぞ胡弓入れたる革鞄かわかばんを携へ公園の樹陰を急ぎ行く姿なぞ見れば、何となく哀れにまた末頼すえたのもしき心地せらるるなり。
洋服論 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
赤帽のいない駅なので、自分のお粗末な革鞄トランクをまるで引摺ひきずるようにして、空架橋の線路の向う側からこっち側へと昇って降りて来た。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
色のせた粗末な革鞄トランクをほとんど投げ出すように彼の足許あしもとへ置くと、我慢がしきれないと云ったように急いで顔や手に流れている汗を手拭でふいた。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
そして彼の革鞄トランクや、その他の小荷物やが部屋の一隅にすでに運び置かれてあった。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
按摩あんまどのは、團栗どんぐりごととがつたあたまで、黒目金くろめがねけて、しろ筒袖つゝそで上被うはつぱりで、革鞄かはかばんげて、そくにつて、「お療治れうぢ。」とあらはれた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ですから私は今日までのうちにすっかり財産を始末して、現金に換えられるだけ換えて押し入れの革鞄カバンに入れてしまいました。みんなあなたに上げるのです。明日あした死に別れるかも知れないのを覚悟してですよ。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)