革鞄トランク)” の例文
赤帽のいない駅なので、自分のお粗末な革鞄トランクをまるで引摺ひきずるようにして、空架橋の線路の向う側からこっち側へと昇って降りて来た。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
色のせた粗末な革鞄トランクをほとんど投げ出すように彼の足許あしもとへ置くと、我慢がしきれないと云ったように急いで顔や手に流れている汗を手拭でふいた。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
床の間には、口の大きな花瓶の中に石竹せきちくの真紅な花がおびただしく挿し込まれてあった。そして彼の革鞄トランクや、その他の小荷物やが部屋の一隅にすでに運び置かれてあった。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)