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團栗
一寸、
靴の
先へ
團栗の
實が
落ちたやうな
形らしい。
但しその
風丰は
地仙の
格、
豫言者の
概があつた。
小狡しき
目で、じろりと
視て
少年の日のやるせない哀感を唄った『
龍舌蘭』と、若くして逝った可憐な最初の奥さんの追憶『
團栗』とは、ともに美しい散文詩である。
それだから
既に
薪に
伐るべき
時期を
過して、
大木の
相を
具へて
團栗が
其の
淺い
皿に
載せられるやうに
成れば、
枯葉は
潔く
散り
敷いてからりと
爽かに
樹相を
見せるのである。