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團栗
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どんぐり
一寸、
靴の
先へ
團栗の
實が
落ちたやうな
形らしい。
但しその
風丰は
地仙の
格、
豫言者の
概があつた。
小狡しき
目で、じろりと
視て
少年の日のやるせない哀感を唄った『
龍舌蘭』と、若くして逝った可憐な最初の奥さんの追憶『
團栗』とは、ともに美しい散文詩である。
それだから
既に
薪に
伐るべき
時期を
過して、
大木の
相を
具へて
團栗が
其の
淺い
皿に
載せられるやうに
成れば、
枯葉は
潔く
散り
敷いてからりと
爽かに
樹相を
見せるのである。
此の
按摩どのは、
團栗の
如く
尖つた
頭で、
黒目金を
掛けて、
白の
筒袖の
上被で、
革鞄を
提げて、そくに
立つて、「お
療治。」と
顯はれた。——
勝手が
違つて、
私は
一寸不平だつた。
羨しさうに
視めながら、
喜多八は
曠野へ
落ちた
團栗で、とぼんとして
立つて
居た。
尤も
其までにも、
小當りに
當ることは、
板屋を
走る
團栗に
異ならずで、
蜘蛛の
巣の
如く
袖褄を
引いて
居たのを、
柳に
風と
受けつ
流しつ、
擦拔ける
身も
痩せて
居た
處、
義理ある
弟、
内氣の
女。