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二挺
四辻の
辺に敵の遺棄した品々を拾ひ集めたのが、
百目筒三挺車台付、
木筒二挺内一挺車台付、
小筒三挺、其外
鑓、旗、太鼓、火薬
葛籠、
具足櫃、
長持等であつた。
希くは
駕籠を
二挺ならべて、かむろに
掻餅を
燒かせながら、
鈴鹿越をしたのであると、
納まり
返つたおらんだ
西鶴を
向うに
𢌞して、
京阪成金を
壓倒するに
足らうと
思ふ。……
老爺の
手にも
小刀が
動く、と
双んで
二挺、
日の
光に
晃々と
閃きはじめた……
掌の
木の
枝は、
其の
小刀の
輝くまゝに、
恰も
鰭を
振ふと
見ゆる、
香川雪枝も、さすがに
名を
得た
青年であつた。