もたれ)” の例文
連て罷越まかりこし歸宅の節夜分大井川の端迄參りし處九郎兵衞は酒のゑひにて河原の石にもたれ熟睡じゆくすゐいたしさめぬゆゑ私し儀藥を買に參り漸々やう/\に戻り來りしに九郎兵衞は何者かを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この室にはベランダはなかったが、バルコンのついた仏蘭西風の窓にもたれると、芝生のむこうに事務所になった会社の建物と、石塀の彼方かなたに道路を隔てて日本領事館の建物が見える。
十九の秋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
二階の欄干にもたれると闇ながらその前に打ち開けた大きな沼澤が見渡されさうに水蒸氣を含んだ風がふいて、行々子ぎやう/\しが其處此處で鳴いてゐる。夜も鳴くといふことを初めて知つた。
水郷めぐり (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)