つま)” の例文
などということばもあったが、伊豆の女はなぜその中でないだろうか。——頼朝も時には、そんな煩悩ぼんのうに、頭脳あたまつままれている日もあった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
重ね重ねの不思議に姫は全く狐につままれた形で、ぼんやりと突立って見ていると、その内に又もや風が一しきり渦巻うずまって
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
仏頂寺と、丸山が、狐にでもつままれたように感じました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
すると後ろの方から、ジャラン、ジャランと、錫杖しゃくじょうの音がしてくる。石秀はその者の影を見るとおかしくなった。これもまた狐につままれたような恰好なのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何だか、狐につままれているようだ。はてな? ……」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)