“さ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
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(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いかにも感慨無量で折角飲んだ酒もめて来るが、暫くするとまた飲みたくなりゃこそ酒屋が渡世が出来る理窟故ますます感心する。
それを吹きはじめると、いよいよゆうべ聞いた金伽羅童子のえた笛の音が、そのまま、この笛に乗り移ったかと思われるほどです。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いたやうな……藤紫に、浅黄群青で、小菊撫子しくめた友染いて、を、はきら/\とつてた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家人たちが、銘々酔顔をげて駆け集ったとき、つい先頃奉公に上ったばかりの召使いのおとよという女が、半身に血を浴びながら
仇討三態 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
宝石商は、それから幾日をしました。え、り、あるときはり、そして、して、をつづけました。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さてはまへにもいへるごとく、初雪を見て山つたひに雪浅き国へる、しかれども行后れて雪になやむもあればこれをる事あり。
わざと、さずにある。すすきの穂の影が、縁や、そこここにうごいている。からし入る月は燈火よりは遥かに明るかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
銭塘杜子恭は秘術を知っていた。かつて或る人から瓜をく刀を借りたので、その持ち主が返してくれと催促すると、彼は答えた。
いで遺跡さぐりにき、貝塚だらけにつてり、掘出したる土器破片背負ひ、うしてつて井戸端ふ。
そうしてさらにまたある一団は、縦横に青空をいている薔薇の枝と枝との間へ、早くも眼には見えないほど、細い糸を張り始めた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ちゃんは、っていって、どこからか米俵いたのをげてきました。ててあったとみえて、でぬれていました。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「大分前から金具がびてゐて、開け立てに齒の浮くやうな音を立てましたが、二三日此方不思議にそんな音が聞えなくなりました」
其うち善兵衛が娘の部屋を調べると、机の抽出から戦慄すべき脅迫状が現れた。白の封筒に白い書簡箋の意味が書かれてあった。
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
ほんとうに目をましていたわけではなく、友愛塾というところは一風変わった指導をやるところだぐらいにしか考えていなかった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そういいながら、その若い男は、ぼくを穴の中へんだ。私はこの意外な出来事に、夢かとばかりき、そして胸を躍らせた。
もくねじ (新字新仮名) / 海野十三(著)
私がこの日頃そこに近寄るのを努めてけるようにしていた、私のの女友達の別荘の前を通らなければならないことを認めたのだ。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
そうするとその矢は、若日子がちょうど下界であおむきにていた胸のまん中を、ぷすりと突きして一ぺんで殺してしまいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
そのに東の空はほのぼのと明け渡って、向うの庭の枯れ木立の間から眩しいの光りが、このの中へ一パイにし込みました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
れたところに応接室喫煙室かといふやうな部屋しあいてゐて人影してゐたが、そこをぎると玄関があつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
火を吐くような言葉を、男の顔にせると、お豊は百年の恋もめ果てたように、クルリと背を向けて、欄干の上に顔を伏せました。
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
そしてなお、月の彼方を、めつけていたが、ようやく、眸のめてくると、眼はおのずから、自分の姿と足もとへ戻って来る。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども彼は落葉だけ明るい、ものびた境内けまわりながら、ありありと硝煙のを感じ、飛び違う砲火のきを感じた。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ソレは乗らぬことにして、その少しきに下駄屋が見えるから、下駄屋へて下駄一足に傘一本て両方で二余り、三朱出ない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そして、その退がると、彼女は微笑みながら云つた。「いゝあんばいに、今度だけは、足りない分を私の手で都合がつけられるのよ。」
毒をしたところだけ、きれいにさきてて、毒のない部分をさんざん食いあらしていたのです。一ろうたってあいつにゃ駄目です。
「さう言つたつて、これでもしたよりはでかいでせう。——一體そんなことを言ふ親分こそ身體を汚したことがありますかい」
ちょうど生きた人魂だね。て門を這入ってみると北風枯梢悲断して寒庭ち、柱傾き瓦落ちて流熒むという、散々な有様だ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一陣の北風にと音していっせいに南にくこと、はるかあなたにぬっくと立てる電燈局の煙筒より一縷の煙の立ちること等
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はいつもきれいに剃ってあるし、髪にはキチンと櫛目がはいっている。散歩に出ると、野の花をしたりして帰ってくる。
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
緑雨は巧に現社界の魔毒を写出せり。世々良伯は少しく不自然の傾きを示すと、今日の社界をる事甚だ遠しとは言ふ可らず。
男は自分ひとりのような顔をしていて、裏にうらのある、そんな稼業のものの真唯中に飛んだ恥をらすようなことがあってはならぬ。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
あなたの大きくみひらいた眼には、果てなき大空の藍色と見渡す草原の緑とが映り紅をしたには日の光と微風とが知られた。
少年・春 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
紋着えりで盛裝した、なのが、わんとはしを兩手つて、めるやうにれて、すぐに一切れはさんだのが、そのさ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
太子問ひたまふ所の義、師(慧慈)も通ぜざる所有り。太子夜の夢に金人のりて不解義を教ふるを見たまふ。太子めて後即ち
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
と節子はすこし顔をめた。彼女は何事も思うに任せぬという風で、手にした女持の洋傘のすこし色のせたのをひろげてした。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
れを無理につかまへて、ねだつては話してもらひましたが、さかつたらうと思つて、今考へると気の毒です。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
婦女の身としては他人の見る眼も羞づかしけれど、何にも彼も貧がする不如意に是非のなく、今ま縫ふ猪之が綿入れも洗ひ曝した松坂縞
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
玄竹てこすりのやうなことをつて、らにしく死體かした。三武士は、『ひやア。』とんで、またした。——
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そういいながら葉子は少し気にえたらしく、炭取りを引き寄せて火鉢に火をつぎ足した。桜炭の火花が激しく飛んで二人の間にはじけた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
さや、夜鳥も啼かず、藪かげのの寺もしんしんと雨戸したれ。時として川瀬のの浪のと響き添ふのみ。それもただ遠し、気疎し。
と凹凸なく瞰下さるる、かかる一枚の絵の中に、の端さえ、片袖さえ、美しき夫人の姿を、何処に隠すべくも見えなかった。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「雑巾々々。」と宙に躍って、蹴返ねた脚は、ここにした魔の使が、鴨居を抜けて出るように見えた。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は四郎の屍体の口腔を開かせ、その中に手をグッとさし入れると咽喉の方までぐってみたのが、果然手懸りがあって、耳飾の宝石が出てきた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
少女はびたる針金の先きを捩ぢ曲げたるに、手を掛けて強く引きしに、中には咳枯れたる老媼の聲して、「ぞ」と問ふ。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
謝名城大宜味村)の海神祭のおもろには「ねらやじゆ〔潮〕すい、みなと〔湊〕じゆゆい……」とあつて、沖あひの事をすらしい。
琉球の宗教 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
更に薏苡と題する詩の中には、「草木各〻きあり、珍産南荒にぶ。絳嚢茘枝をけ、雪粉桄榔をく」といふ句がある。
源太郎はされた酒の黄色いのを、しツぽく台の上に一寸見たなりで、無器用な煙草を止めずにゐた。
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
玄宗の夢にあらわれた鍾馗のいてった鬼は、その耗であるのと例の考証をやってから、その筆は「四方の赤」に走って
貧乏神物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
別れにした盃を、清葉が、ちっと仰向くように、天井に目をいで飲んだ時、世間がもう三分間、もの音を立てないで、死んでいて欲しかった。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一段高い岩の上に「虎狼の宮」の古風の社殿がかに立っているばかりで、木立さえないらしの境内には犬の子一匹いないのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
曾て帰省した時の服装を見ると、地方では奏任官には大丈夫踏める素晴しい服装で、しても金の時計をぶらげていたと云う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
当時の事だから、祖父さんも腰に刀をしていたので、突然にひらりと引抜いて、背後から「待てッ」と声をかけた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ガラス瓶にした睡蓮の花はそのい、長い茎の上に首を傾けて上品に薫っている。その直後にデカルトの石膏像が立ってる。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
て、うなると、この教育のあるが、しろ恰好い、第一ちやうがい、𢌞してつてせといふ。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しくげているには、やがて神様御声凛々いてまいりました。それは大体のような意味のお訓示でございました。
「やい亀井、何しおる? 何ぢや、懸賞小説ぢや——ふッふッ、」とも馬鹿にしたやうに冷笑つたはズングリと肥つた二十四五の毿々の書生で
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
書院の障子いちめんにその月光が青白くさんさんとふりそそいで、ぞおっと襟首立つような夜だった。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
て參りますと主個に言ての支度辨當吹筒げ和吉を呼で今日は吾儕が花見に行なれば辨當を脊負をしてと言ば和吉は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「戸締りをした形跡がない。引っかけの輪金がボロボロにびている。東作は毎晩、戸締りをしないで寝ていたものですね」
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
謠へば面白いのだが、お秋さんにはてもそんなことをせて見ようつて出來ないから駄目だ。それどころではない。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかし、涙は喉につかえて、闇の樹立に注がれている眼は、えかえるばかりであつた。
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
蝙也はちょっと眉を曇らせたが、べつに何も云わず、食事の支度を命じて軽く済ますと、納戸から拳大の鉛の塊を取出してきて布に包み、中脇差だけして
松林蝙也 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
破三味線を膝の横へ置いて、所在なげにを指ですり、幽かな音色をたてながら、お吉はじっと俯向いていたが
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
わしは別にみ心からそう言ったのではない。あの様な小僧を相手にするでもないが、態度が憎々しく非礼だったのが気にわったというまでだ。
(新字新仮名) / 富田常雄(著)
今はじめて、しかも戸をしてひそかにまなぶということです、しかもその戸は、おのれ自身の心にもあるのですから、自分の心の一部にさえ戸をさなければならない
菊屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それに、お姉さんを、心ではっちもっちもないほど、好きんなっていながら、いつまでも穏便主義でやろうなんて、ムリだわ。ムリというよりも、意気地がないわ。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
天柱け地維欠くとも言うべき一大凶変が突如として起り、首都東京を中心に、横浜、横須賀の隣接都市をはじめ、武相豆房総、数箇国の町村に跨がって
死体の匂い (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
三芝居もどんなものだか、の若衆人形の落ちこぼれが、奥山あたりに出没しているとのことだが、それも気が進まない。活人形も見てしまった。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
四季袋紐短かにげたるが、此方を見向ける素顔の色く、口のさで、やや裏寂くも花の咲過ぎたらんやうの蕭衰を帯びたれど、美目のたる色香尚濃にして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「まア一つおあがりやへえな。」と、女中は盃洗の底に沈んでゐた杯を取り上げ、水を切つて、先づ源太郎にした。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
昨春以来癪にえつつ筆執る暇を得なかった円本ブッタタ記、これを思うままに草し了った時の胸のスガ/\しさ、近来にない快感であり満足であった
しかるに〈古はすなわち鶏を磔す、今はすなわち殺さず、また、正月一日、鶏鳴きて起き、まず庭前において爆竹し、以て山臊悪鬼をく云々。
 天の原 ふりけ見れば 渡る日の 影も隠ろひ 照る月の 光も見えず 白雲も い行き憚り 時じくぞ 雪は降りける 語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 不尽の高嶺は
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
をもって中央にて三に結成し、その上に飯櫃を載せ、三人各三方より相向かいて座し、おのおの隻手あるいは両手をもって櫃の蓋を緩くおさえ
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
闇太郎は事もなげに、例の顎をでに、撫で上げながら
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
黄生うちゑみて『きに実を告げざりしにやあらむ、うべなり、この厄に遇はむとはしたる。今や卿を知り得たり。卿もし疎くもてなさば艾もてくゆらしやらむ』
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
妻は乳児をすててり、昨年は病魔におかされ、本年は天災にかかり、一家挙げて飢えに泣き渇を訴うるがごとき徒に至りては、なにによりて安心の一道を営みましょうか。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
力なき日はいつしか光り薄れて時雨空の雲の往来定めなく、後山晴るゝと見れば前山忽まちに曇り、嵐にられ霧にへられて、九折なるを伝ひ、過ぎ来し方さへ失ふ頃
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
人種の気象は風土と相伴ふさうだが、我々犬族も多分うらしいのは日本人と日本犬と何から何までが能く似ておる。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
あめつゝちとりましとゝ 何故 ける 利目
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
がしているからその人をいたいと思うが一応御両親にもその人をお目にかけて御許しを受けたいについてどうぞ父上様と母上様とで御出京を願いたい
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
しそのしさはかぎりなし木高く白き花群
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
足の踏所覚束無げに酔ひて、帽は落ちなんばかりに打傾き、ハンカチイフにみたる折を左にげて、山車人形のやうに揺々と立てるは貫一なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これに代ってきに支那から我邦に渡来した『植物学』の書(多分我が万延、文久、元治年間に渡ったものであろう)
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
如何しました、如何しました』とけんだ僕の声を聞いて母はに座り直し
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
私は靴きで、その棒切れを押してみました。なんの戦慄もなく、もちろんひとつもこわくはなく、むしろ、私はやっと真の自分を取り戻したような安定をおぼえました。
恐怖の正体 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
あまりに上品とはいえないが私のような胃病患者から見るとなんとそれはち多過ぎる人であるかと思ってやましき次第とも見えるのだ、全く何も食えずにいる時、沢庵と茶漬けの音を聞く事は
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
あゆめばたにのわらびの
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
三輪大宅竹助と云うものがあって、海郎どもあまた養い、広物を尽してり、家に暮していたが、三人の小供があって、上の男の子は、父に代って家を治め
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
全存在が空虚のうちに沈み込んでゆく様……そして忌わしい臨終のあえぎ、水面でけるにも似たその機械的な呼吸、魂がもはやなくなっても、なお頑固に生きんとつとめる肉体の最後の息吹き。
子貢曰く、詩に云う、するが如く、するが如く、するが如く、するが如しとは、其れれを之れ謂うかと。子曰く、や、始めてに詩を言うべきのみ。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
野分立った朝、尼はその女のもとに菓子などを持って来ながら、いつものように色のめた衣をかついだ女を前にして、何か慰めるように
曠野 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
番茶の酒盛——“おか盛”がはじまったい。発案者たる大家さんはひとりで気分を出して悦に入るが、長屋の衆はアルコール分がないから滅入るばかりだ。
円太郎馬車 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「穴だよ。——り込んで、めて下へげる穴だ。鉱といっしょに抛り込まれて見ねえ……」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
風の日も雨の日もうことなく、住居をる十町ばかりの築土八幡宮参詣して、愛児の病気を救わせ給えとり、平生める食物娯楽をさえにちたるに、それがためとにはあらざるべけれど
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
砕けた源太が談話ぶりけたお吉が接待ぶりにいつしか遠慮も打ち忘れ、されてまず受けてはつと酒盞の数重ぬるままに、平常から可愛らしきら顔を一層みずみずと
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
吾子よ。吾子のせなんだび心で、吾子よりももっと、わるいび心を持った者の、大和に来向うのを、待ち押え、え防いで居ろ、と仰せられた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
その鶏を五つ位にいて五合の水で玉葱四つを加えて塩味をつけて一時間湯煮ます。最初沸立つ時アクの浮くのをい取らなければなりません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
うしてさな子供等めて、これらの不思議世界面白しをしたなら、自分想出如何ばかり、くの子供ばすことだらうかと
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
と清之介君が言いした時、女中が後片附けの都合で又顔を出した。それを好いことにして妙子さんは
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
夜深うしてを行ふ彼何の情ぞ 黒闇々中刀に声あり 圏套姦婦の計を逃れ難し 拘囚未だ侠夫の名を損ぜず 対牛楼上無状をす 司馬浜前に不平を洩らす 豈だ路傍狗鼠
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
私は柄杓で水を浴せ掛ると、鶩は噂好なお婆さんて、泥の中を蹣跚しながら鳴いて逃げて行きました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
の國は廣くと
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
その種子けるに似たり。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
その、張り切った気合を受けて、弾き返した瞬間、小太郎は、柳の木蔭へ、けていた。何う斬って、何う引いたか——月丸は、刀を元の如く下段につけて、静まり返っていた。小太郎は
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
離縁られた人か、死ぬ人か
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
禰宜 いや何とも……この晩、ふけふけに、この方角……あの森の奥に当って、化鳥の叫ぶような声がしまするで、話に聞く、咒詛の釘かとも思いました。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして打ち解けて見ると彼は上品な、どこまでも純粋な、そしてかしい青年だった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
いわんや旬朔をや、汝の家に還らば事古儀に合わんと、妃曰くわれ穢虫の窟にありといえども蓮の淤泥に居るがごとしわれ言信あれば地それけんと、おわりて地裂く、曰くわが信現ぜりと
細君は後ろに𢌞つて背中をする。十風は其手を拂ひ除けようとしたが力が足らぬ。瘠せた大きな頭を枕から落して敷蒲團に顏を埋めるやうにして咳く。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
家の内を隈無く尋ぬれども在らず、さては今にも何処よりか帰来んと待てど暮せど、姿をせし貫一は、我家ながらも身をるる所無き苦紛れに、裏庭の木戸よりさで忍び出でけるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
果たして、ぐわあん! と谷間のけるような音が渓流の向う側からとどろいた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「妾すこしすりましょう」浜路正直にも寄って来た。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
へい、辻の橋の玄徳稲荷様は、御身分柄、こんな悪戯はなさりません。狸かでござりましょう。迷児の迷児の、——といて来やがって饂飩を八杯らいました……お前さん。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朝なななくきぎすはも
一点鐘 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
不愉快人車られてびしい溪間けられることは、苦痛であつたが、今更引返へす出來ず、其日午後時頃此宿いた。突然のことであるから宿主人かした。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いよいよいて、全軍われがちに、谷の奥へなだれ打ってゆくと、轟然大地がけた。烈火と爆煙にはねとばされた蛮兵の手脚は、土砂と共に宙天の塵となっていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あわてて駆け出したガラッ八の足許へ、その軽率をとがめるように、カラリと落ちたのは、その頃の下町娘が好んでした、つまみ細工の美しいではありませんか。
おおわれても透明なカーテンだから、女人雲のなまめかしい姿は、緋色に隔てられたように、ありありと見えている。
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
と、びたが力ある声して言つた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
衞の霊公陣を孔子に問う。孔子対えて曰く、俎豆の事は則ち嘗て之を聞けり。軍旅の事は未だ之を学ばざるなりと。明日遂にる。に在りて糧を絶つ。従者病みて能くし。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「仲間の者の義理堅さ、青天井の下に援け合う暮しの晴々しさは、権謀ときっに浮身をやつす、大名高家とは雲泥の違いで御座るぞ。ここには不義もなく不信もなく奸臣も無く、暴君も無い——」
そう言い、孔の一つびとつに針金をしながら、器用な手つきで古い埃をほじくり出した。丹塗りの笛の胴にはいってから密着いたのか、滑らかな手擦れでみがかれた光沢があった。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
像法の季、末法の時代は無戒の時代である、持戒の比丘はなくなり、いわゆる無戒名字の比丘、すなわち鬚をり髪を剃って身に袈裟を着けてはいるが戒を持することのない名ばかりの僧侶になる。
親鸞 (新字新仮名) / 三木清(著)
平生は一きりしてゐないけれども、二本帶して資格つてゐて、與力京武士らなくてもいいだけの地位になつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
羽二重小袖羽織茶宇、それはまだくにりないとして、細身大小は、へだけに四百兩からもかけたのをしてゐた。めた黄金燦然として、いた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
君も今から廃刀と決心して、いよ/\飾りにさなければならんと云うなら、小刀でも何でもしいと云て、大きに論じた事がある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その時私は脇差を一本して居たから、追付かるようになれば後向るより仕方がない。ては誠に不味い。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「座敷の花魁は遅うございますことね。ちょいと見て参りますよ」と、お梅は次の間で鉄瓶に水をす音をさせて出て行ッた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
酒のない猪口が幾たび飲まれるものでもなく、食いたくもない下物ッたり、煮えつく楽鍋杯泉の水をしたり、三つ葉をんで見たり、いろいろに自分を持ち扱いながら
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
布をす事のみ念じて宅へ入る刹那、自家の飼牛がえる、水を欲しいと見える、布を量る前に水を遣らんと水を汲んで桶からに移すに、幾時経っても、桶一つの水が尽きず
伏羲嬉しさの余り、その婦に汝が朝手初めに懸った業は、まで続くべしと祝うて去った。貧婦帰ってまず布をし始めると、夕まで布尽きず、跡から跡から出続いたので、たちまち大富となった。
しかし実際顔と顔とを向かい合わせると、二人は妙に会話さえはずまなくなるのだった。そのかしいのがいやだった。柔和なのが気にさわった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
黒い髪の毛をぴったりときれいに分けて、かしい中高細面に、健康らしいばら色を帯びた容貌や、甘すぎるくらい人情におぼれやすい殉情的な性格は、葉子に一種のなつかしさをさえ感ぜしめた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
人に指点す指の、そりと爪先に肉を落すとき、明かなる感じは次第に爪先に集まって焼点構成る。藤尾の指は爪先のを抜け出でて縫針のがれるに終る。見るものの眼は一度に痛い。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
物足らぬとは指点す指の短かきに過ぐる場合を云う。足り余るとは指点す指の長きに失する時であろう。糸子は五指を同時に並べたような女である。足るとも云えぬ。足り余るとも評されぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
風のさき黄なるカンナの群落に舟しかへす今はまぶしみ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夏堀水曲の葦むらはたださわさわし小舟しつつ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いた当人も自然界の局部が再現したものとは認めておらん、ただ感興のした刻下の心持ちを幾分でも伝えて、多少の生命を惝怳しがたきムードに与うれば大成功と心得ている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
西宮がした猪口に満々と受けて、吉里は考えている。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
雛鶏家鴨と羊肉の団子とをした三本がしきりにされていて、のどかに燃ゆる火鉢からは、り肉のうまそうな
糸くず (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
その人寤め往きてこれを取らば、蛇たちまち見えなくなると(一九一五年版エントホヴェンの『コンカン民俗記』七六頁)。
「だつて、堪るも堪らないもないぢやないか。地主様のつしやる事、誰が苦情を申立てられよう!」と、の声が答へた。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
当然そこから入って来るかさの像が直立してしまって否でも次の障子にその黒頭の笄が似た形が、映らなくてはならないでは御座いませんか。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
う言やマア、さうですがね、しかしくまア、軍人などで芸妓落籍せるの、妾にするのツて、お金があつたもンですねエ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
孝「へい、良石和尚が申した通り、の身の上はの上を渡る様なもので、進むに利あり退くにあらずと申しまして、良石和尚の言葉とか違いはござりません」
注に騾もし姙めば、母子ともに死すとある(『大明三蔵法数』一九)。『爾雅翼』に、騾の瑣骨ありて離れ開かず、故に子を産む能わず。『史記』の注に、駃騠は、その母の腹をいて生まる。
秋もけ、十月も半ばをすぎると、相模の山々の漆やぬるでに朱がし、月のない夜闇がひとしお色濃く感じられるようになった。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「そんな下らない小説にページをくのだったら、もう雑誌の購読は止めちまうぞ」とか
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
東京で彼岸ザクラといえば後とにもきにも上野公園のもののみが登場して、そこでその木を一概にそう思い詰めているのである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
而今かくのごとし、また用ゆるところなし、すなわち刃を堂礎にし以てこれを折る。
それが桶屋とか杉の皮をく者とかと対談している際に、不意に手がすべって杉の皮なり竹の輪の端が強く相手を打つと、人間という者は思わぬことをするから油断がならぬといって
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
四階目にある此処の家のはばかりには、ミユンヘンの新聞紙とともに日本の新聞紙を四角に切つてげてあることがあつた。
日本媼 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
紫羅傘だよ、この山にはたくさんく。それ、一面に。」
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして、らは、一りからびさまされたように、感心したのでありました。
春がくる前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
といふ考が段々發展して、きに考へた道徳的負擔から逃れる爲めといふよりも、樂な心持を與へた。
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
モンタギュー長者白刃げ、モンタギュー夫人それをめつゝ、る。
「戦争に全勝せよ、れど我等は益々まん」との微風の如き私語を聴く、去れば九州炭山坑夫が昨秋来増賃請求の同盟沙汰伝はりてより、同一の境遇に同一の利害を感ずる各種の労働者協同して
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
松野てゝ竹村まれれにまれ、开所だめなばれや雪三すべし、幸福むるとて可惜忠義嗤笑にさせるゝことかは
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
江戸開城の後、予は骸骨い、しばらく先生とち、武州府中の辺にけ居るに、先生は間断なく慰問せられたり。
蛇はみんな非常に軟かいけ目のある、黒い線を唇の間から非常に速く飛び出さしてゐる。それは、蛇がいろんな目的の為めに持つてゐる武器だ。
小人……小人の浅慮さ。……仰せのように、いつしか、思いあがっておりました。……その紋太夫の心に乗じて、おそらく魔などがしたものにござりましょう。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうして過して居るか知らんと思うと私は寝て居る中にも涙が出てを断ちかるるの思いがある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
殊に科学者はておき哲学者といふ奴は多くは先哲の蓄音器である。少し毛色が違つたかと思つて能く/\聞くと妄想組織が脳に生じたのを白状してゐるだ。今の学者は例へば競売屋だ子。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
代助は斯う云つて、縫子蝙蝠傘げて一足先へ玄関へた。車はそこに三挺んでゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
逃げかくれる気持も分るが、それをいま一度うようになるのもけられぬ女の心だった。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
よ、巨浪りてき。 黒雲る。
弓矢を持って居るもあれば鉄砲ばかりを持って行く兵士もある。での上にはいずれも一人一本ずつ銘々色変りの小旗をしてごく綺麗な装束です。むしろ戦場に臨んで戦争をやるというよりは
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
只管走りて大通りに出でにて又馬車に飛乗りゼルサレム街にる警察本署をしてせたり目科は馬車の中にても心一方ならず騒ぐと見え
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
その手に在るを抜きて、男は実印用のを女の指に、女はダイアモンド入のを男の指に、りてもなほ離れかねつつ、物は得言はでゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
後に負へる松杉の緑はれたる空をしてそのりてげにれる雲はるに似たり。との風もあらぬに花はに散りぬ。散る時にく舞ふをは争ひて歌へり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
風馬牛に遇せらるるか、いわゆる知らぬは亭主ばかりでそれは私のとり得ん所だが、私は今この書を世に公にするからには成るべく一般に読んで頂きたいと悃願する。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
を原頭にらさゞるの故を以て、国民的ならずと罵るものあらば、吾人は其の愚を笑はずんばあらざるなり。
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
眞暗闇の廣漠々とした平原に雨がザアーと音をさして降つてゐるその中を提灯もつけずに歩くのは、勝には、然し、矢張り氣持よくなかつた。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
彼が抱へとなりしより、早や二年なれば、事なく我等を助けんと思ひしに、人の憂に附けこみて、身勝手なるいひ掛けせんとは。我を救ひ玉へ、君。金をば薄き給金をきて還し参らせん。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
きのふは少し用があつて、京の町までまゐりますと、六條の河原にあなたと同じやうな首がらされて居りましたよ。
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
彼はきて寒慄せり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
微曇りし空はこれが為にされたる気色にて、銀梨子地の如く無数の星をして、鋭くえたる光は寒気つかとはしむるまでに、その薄明さるる夜のど氷らんとすなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
もすれば上に偶語し、剣をじてその君主に迫らんとしたる勇夫健卒も、何時の間にやら君臣の大義に支配せられ、従順なる良臣となりれり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
で取りからもう熱がめる、が無くなる、から嫌氣して了ツた。然うなると、幾ら努力したと謂ツて、いたと謂ツて、何のにも立ちはしない。で、たゞ狼狽する、するに意氣鎖沈だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
渠等みたる店前り、戸口立並び、御繁昌旦那にしてへず、ゑてふもののなるかをよ、とびて、ぐれば畝々這出づるみて
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
塩物屋の切身が、びた赤い色を見せて、並んでいる。隣りに、しらす干がかたまって白くり返る。鰹節屋の小僧が一生懸命に土佐節をささらでいている。ぴかりぴかりと光る。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おくみは念のために座敷のお蒲団を一枚出して、縦横の寸法をして見た。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
いや、諸々の原因は数えあげることは出来たが、その諸々の原因そのものが本来なれば胸の火をより燃えからしむべき薪である筈だった。
十姉妹 (新字新仮名) / 山本勝治(著)
「こよいは、そちや菊王も交じえて、心ゆくまで、別杯をもうよ。小右京に琴をひかせ、わしは琵琶を弾じよう。その支度、清々としておけや。夜明けなば、立ち、やかにここを立ち出でたい」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見くびられてはぞ心苦しかろうと岡見ながらも弁えておきたい。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
一念ここに及ぶに、けて、悔恨わざるなり。
人類文化の宣伝事業じゃ。何も参考、話の種だよ。サアサ寄ったり、聞いたり見たり……外道——ア——エ——
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
にこの奥方なれば、金時計持てるも、真珠の襟留せるも、指環を五つまで穿せるも、よし馬車に乗りて行かんとも、何をかづべき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
黒犬にまれて驚いたなどという下らない夢を見る人は、めていても、の目をされて騒ぐくらいの下らない人なのである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
八「はせな、身体れてけねい、す事が出来ねい、ホリャ困っさな、女中衆/\」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
尉官は腕をきて、こもまたぎたるあらず、ほとんど五分時ばかりの間、互に眼と眼を見合せしが、遂に良人まずびたる声にて
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鶴はその後二分ほどの間、いかにも楽し気に唄いつづけていたが、やがて気がしたようにフッと歌をやめてしまった。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
頭の上で鳴るそれを聞いていると、漁夫の心はギリ、ギリと切りいなまれた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
わが友にて命運の友にあらざるもの道をびたる麓に塞がれ、恐れて踵をめぐらせり 六一—六三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
犬よりも下に新介を見げていた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
されば支那人もに禽獣が農事に大功あるを認め、十二月にと名づけて先祖を祭ると同日、といって穀類の種神を祭り
注射——猛烈な毒物や、空気の静脈注射と言うことも考えられますが、全身の皮膚は剥いたゆで卵のように綺麗で、されたも見付かりません。
葬送行進曲 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
急に烈しく睡気して来たので、丑松は半分眠り乍ら寝衣を着更へて、直に感覚の無いところへ落ちて行つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
て此に至れば、死刑は固より時の法度に照して之を課せる者多きを占むるは論なきも、何人か能く世界万国有史以来の厳密なる統計を持して
死生 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
趣味とは、眺めてゐるものと、はつて見るもの、れなければ堪能できないものと、心に養つてゐるものとがある。
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
話がだんだんみしくなって来た。顔に似合わず、彼女もやはり女であった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「愛」はち馳せりつ、馳せ走りながら打泣きぬ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
北の島根にかり來て
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
頭から翅の端まで、緋一色のうえに、白で、繊細なアラベスクの模様をした、見たこともない珍奇なものだった。
蝶の絵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お村は立って戸棚から徳利を出して、利休形の鉄瓶へ入れて燗をつけ、膳立をして文治が一杯飲んではお村にし、お村が一杯飲んで又文治にし、さしつ押えつ遣取をする内
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御座める事の多い者であって、それを忌憚なく女自身が書いたら風俗を乱すなどと想う人もありましょうが、女とても人ですもの、男と格別変って劣った点のある者でなく
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
そしてあのこおろぎの鳴くのは、「襤褸せつづれさせ」と言って鳴くのだ、貧しいものはあの声を聞いて冬の着物の用意をするのだと言って聞かせました。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
結構の奇、事状の異、談話の妙、所謂三拍子揃い、柳のに桜の花をかせ、梅のりをたせ、も間然する所なきものにて、に世に行われし牡丹灯籠、多助一代記等にる事万々なり。
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
ほど経て窻を
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
頃は夏の最中、月影やかなる夜であつた。僕は徳二郎のについて田甫に出で、稻の香高き畔路を走つて川のに出た。堤は一段高く、此處に上れば廣々とした野面一面を見渡されるのである。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
心配でならぬは家内——だ。したになつて呼吸しくなる。るのがい。先生家内のものが挑動呼吸があるかネ。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)