)” の例文
いて見るとき麦粒が満ちいる。長者大悦して倉にれるとあふれ出す。因って親族始め誰彼に分って合国一切恩沢を蒙った。
更に薏苡と題する詩の中には、「草木各〻よろしきあり、珍産南荒にならぶ。絳嚢茘枝をけ、雪粉桄榔をく」といふ句がある。
自分をき分けて、近くへ寄ってみれば、焼石、焼灰の醜い心と身体、それは自分ながら吐き捨ててしまい度いようである。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
宮は如何いかに悲しからん! この両度の消息は、その苦き胸をき、その切なる誠を吐きて、世をも身をも忘れし自白なるを。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わしはわしの血を一滴づつ取引とりひきするよりも、わしの腕の血管を自らいて、彼女にかう云つてやりたかつた。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
厨房だいどころるものでくさめをしないのはたゞ料理人クツクと、それからへツつひうへすわつて、みゝからみゝまでけたおほきなくちいて、露出むきだしてた一ぴき大猫おほねこばかりでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
人夫らは怖ろしくなって、ますますその火を強くいたので、やがて泥鼈は死んでしまった。試みにその腹をいてみると、ひとりの小さい人の形があらわれた。
ひとりの学生はなおいて見る気か、しきりにとういでる。死体は二つであった。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
誰やら切腹すると、瞋恚しんいの焔とでも云うのか、いた腹から一団のとろ/\したあかい火の球が墨黒の空に長い/\尾を曳いて飛んで、ある所に往って鶏のくちばしをした異形いぎょうの人間にった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
微子びし箕子きし比干ひかんは共にいんちゅう王の無道を諌めた。微子は諌めてきかれず、去って隠棲した。箕子は諌めて獄に投ぜられ、奴隷となった。比干は極諌して死刑に処せられ、胸をかれた。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
忠輝始終を見届け、かの小男不審とてその腹をくに一滴もなし。しかるにその両脇下に三寸ばかりの小瓶こがめ一つずつあり。
処女マリアの彫像の眼は駝鳥だちょうの胃の腑をいて取ったという自然のダイヤがいれてあった。
バットクラス (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
これぞ世にいう「のう」である。道士はその半分をいて、持ち帰って朝廷に献じた。
淡緑色の大きな眼球に蚊のはし程のほそく鋭い而してじいと人を見詰むるひとみを点じたすごい眼、黒く鋭い口嘴くちばし、Vice の様な其両手、いて見れば黒い虫の様にうごめく腸を満たしたふくれ腹
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
頭ばかり手をつけずに、全部分解ぶんかいがすんだあとであった。一つは女で今頭を分解したところで、頭をメチャメチャに切りけられては男も女もない。矢野にはまだなにがなにやら一向いっこうわからぬ。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
二尺たけの鱷が同長の蛇をんだところを、著者が殺し腹をくと、蛇なおきいたとあるし、十六世紀にベスベキウス
裏には真桑瓜まくわうりつるの上に沢山ころがり、段落だんおちの畑には土が見えぬ程玉蜀黍が茂り、大豆だいずうねから畝にさやをつらねて、こころみに其一個をいて見ると、豆粒つぶ肥大ひだい実に眼を驚かすものがある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
バルフォールの『印度事彙』に人あり孕んだ牝虎を十七疋まで銃殺しいて見ると必ず腹に四児を持っていた。
『敬斎古今とう』三に、騾は必ずしも驢種馬子でなく、自ら騾の一種があるので、生まるる時必ず母の腹をかねばならぬとあるなど、騾の牝が子を産まぬについて、種々虚構した説だ。
故に鼠の腹をいて金をとある。昔インドの王子、朝夕ごとにわれに打たるる女をめとらんというに応ずる者なし。ようやく一人承知した女ありてこれにとつぐ。二、三日して夫新妻を打たんとす。
女文豪コンスタンス・ラッセル夫人よりも書面で教えられたは、哲学者ジョン・ロック一六九六年(わが元禄九)鮭の胃をいて得た海蚣をアイルランドの碩学で英学士会員だったモリノー男に贈り