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さ
ふりがな文庫
“
覺
(
さ
)” の例文
新字:
覚
ある
時
(
とき
)
は、
隣室
(
りんしつ
)
に
臥
(
ね
)
てゐるKの
夫人
(
ふじん
)
に
搖
(
ゆす
)
り
起
(
おこ
)
されて
眼
(
め
)
を
覺
(
さ
)
ましたが、
彼女
(
かのぢよ
)
にはそれが
單
(
たん
)
に
夢
(
ゆめ
)
とばかり、
打
(
う
)
ち
消
(
け
)
すことができなかつた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
紋着
(
もんつき
)
、
白
(
しろ
)
えりで
盛裝
(
せいさう
)
した、
艷
(
えん
)
なのが、
茶
(
ちや
)
わんとはしを
兩手
(
りやうて
)
に
持
(
も
)
つて、
目
(
め
)
の
覺
(
さ
)
めるやうに
顯
(
あらは
)
れて、すぐに
一切
(
ひとき
)
れはさんだのが、その
人
(
ひと
)
さ。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平常
(
つね
)
の
部屋
(
へや
)
に
倚
(
よ
)
りかゝる
文机
(
ふづくゑ
)
の
湖月抄
(
こげつせう
)
こてふの
卷
(
まき
)
の
果敢
(
はか
)
なく
覺
(
さ
)
めて
又
(
また
)
思
(
おも
)
ひそふ
一睡
(
いつすゐ
)
の
夢
(
ゆめ
)
夕日
(
ゆふひ
)
かたぶく
窓
(
まど
)
の
簾
(
すだれ
)
風
(
かぜ
)
にあほれる
音
(
おと
)
も
淋
(
さび
)
し。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
外套
(
ぐわいたう
)
も
脱
(
ぬ
)
がずに、
上
(
うへ
)
から
曲
(
こゞ
)
んで、すう/\いふ
御米
(
およね
)
の
寐息
(
ねいき
)
をしばらく
聞
(
き
)
いてゐた。
御米
(
およね
)
は
容易
(
ようい
)
に
覺
(
さ
)
めさうにも
見
(
み
)
えなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
なに
)
かミハイル、アウエリヤヌヰチが
云
(
い
)
ふたので
有
(
あ
)
るが、
直
(
すぐ
)
に
皆
(
みな
)
掻消
(
かきき
)
えて
了
(
しま
)
つた。
恁
(
か
)
くてアンドレイ、エヒミチは
永刧
(
えいごふ
)
覺
(
さ
)
めぬ
眠
(
ねむり
)
には
就
(
つ
)
いた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
原稿
(
げんかう
)
を
書
(
か
)
く、
氣
(
き
)
もちよく
筆
(
ふで
)
が
運
(
はこ
)
ぶので
夢中
(
むちう
)
になつた、その
夢中
(
むちう
)
を
覺
(
さ
)
ました
聲
(
こゑ
)
は
猫
(
ねこ
)
である、あら
座蒲團
(
ざぶとん
)
に
座
(
すは
)
つて、すましてゐる。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
次
(
つぎ
)
の
朝
(
あさ
)
お
品
(
しな
)
はまだ
戸
(
と
)
の
隙間
(
すきま
)
から
薄
(
うす
)
ら
明
(
あか
)
りの
射
(
さ
)
したばかりに
眼
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めた。
枕
(
まくら
)
を
擡
(
もた
)
げて
見
(
み
)
たが
頭
(
あたま
)
の
心
(
しん
)
がしく/\と
痛
(
いた
)
むやうでいつになく
重
(
おも
)
かつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
年中
(
ねんじゆう
)
雪
(
ゆき
)
に
閉
(
とざ
)
されてゐた
山頂
(
さんちよう
)
に
夏
(
なつ
)
が
來
(
き
)
て、
雪
(
ゆき
)
が
溶
(
と
)
けると、すぐその
下
(
した
)
には
可憐
(
かれん
)
な
草
(
くさ
)
が
目
(
め
)
も
覺
(
さ
)
めるばかりに
咲
(
さ
)
き
出
(
い
)
でます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
私
(
わたし
)
の
眼
(
め
)
が
覺
(
さ
)
める
時分
(
じぶん
)
には、
誰
(
だれ
)
も
私
(
わたし
)
の
言
(
い
)
ふことを
本當
(
ほんたう
)
にして
呉
(
く
)
れる
者
(
もの
)
はありませんでした。
御覽
(
ごらん
)
の
通
(
とほ
)
り、
私
(
わたし
)
は
今
(
いま
)
、お
稻荷
(
いなり
)
さまの
社
(
やしろ
)
の
番人
(
ばんにん
)
をして
居
(
ゐ
)
ます。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
榮華の夢早や
覺
(
さ
)
めて、沒落の悲しみ
方
(
まさ
)
に來りぬ。盛衰興亡はのがれぬ世の習なれば、平家に於て獨り歎くべきに非ず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
そして、私はいきなり
美
(
うつく
)
しい夢から呼び
覺
(
さ
)
まされたやうに、
現實的
(
げんじつてき
)
なその世界の中に卷き込まれねばならなかつた。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「裏の方には、爺やの六兵衞が寢てますが、これは離れて居るし、寢酒がきいて居るから、眼なんか
覺
(
さ
)
めはしない」
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
トロリとした
間
(
ま
)
に
鶴見
(
つるみ
)
も
神奈川
(
かながは
)
も
過
(
す
)
ぎて
平沼
(
ひらぬま
)
で
眼
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めた。
僅
(
わづ
)
かの
假寢
(
うたゝね
)
ではあるが、それでも
氣分
(
きぶん
)
がサツパリして
多少
(
いくら
)
か
元氣
(
げんき
)
が
附
(
つ
)
いたので
懲
(
こり
)
ずまに
義母
(
おつかさん
)
に
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
不思議
(
ふしぎ
)
なこともあるものです。それが
今日
(
けふ
)
は、
何
(
なに
)
をおもひだしたのか、
目
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めると、めそめそ
啜
(
すゝ
)
り
泣
(
な
)
きをしながら、
何處
(
どこ
)
へか
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つてしまひました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
月光
(
げつこう
)
の
照
(
てら
)
す
下
(
もと
)
に
聞
(
きこ
)
えて
來
(
く
)
るその
波
(
なみ
)
の
響
(
ひゞ
)
きも、
思
(
おも
)
へば
夜
(
よ
)
の
更
(
ふ
)
けた
感
(
かん
)
じのすることだ。かうした
晩
(
ばん
)
に、この
海
(
うみ
)
に
舟旅
(
ふなたび
)
をして、
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で
目
(
め
)
の
覺
(
さ
)
めてゐる
人
(
ひと
)
もあらう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
凄
(
すご
)
い
氣味
(
きみ
)
のわるい
聲
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いたら……おゝ、
早
(
はや
)
まって
覺
(
さ
)
めた
時分
(
じぶん
)
に、
其樣
(
そのやう
)
な
怖
(
おそろ
)
しい、
畏
(
こは
)
いものに
取卷
(
とりま
)
かれたら
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
この單調にして悲しげなる聲を聞きて、我は朝な/\
覺
(
さ
)
むるが常となりぬ。覺むれば説教の稽古す。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
何しろ前の晩には一生懸命になツて
捕
(
つかま
)
へて來たのだから、朝眼が
覺
(
さ
)
めると直ちに螢籠の中を
檢
(
しら
)
べて見たが、
何時
(
いつ
)
の朝だツて一匹もゐた事が無い。で、隨分がツかりもした。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
その
休息時間
(
きゆうそくじかん
)
の
長短
(
ちようたん
)
、
或
(
あるひ
)
は
休眠
(
きゆうみん
)
から
覺
(
さ
)
めたときの
活動
(
かつどう
)
ぶりにも
各火山
(
かくかざん
)
にめい/\の
特色
(
とくしよく
)
があつて、
一概
(
いちがい
)
にはいへないが、
平均期間
(
へいきんきかん
)
よりも
長
(
なが
)
く
休止
(
きゆうし
)
した
後
(
のち
)
の
噴火
(
ふんか
)
は
平均
(
へいきん
)
の
場合
(
ばあひ
)
よりも
強
(
つよ
)
く
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
胸騷
(
むなさわ
)
ぎ、つとまぼろしは
覺
(
さ
)
めはてき。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
雉子の鳴く
音
(
ね
)
に
覺
(
さ
)
まされて
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
覺
(
さ
)
めにけり
秋の日
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
此間
(
このあひだ
)
生
(
うま
)
れた
末
(
すゑ
)
の
男
(
をとこ
)
の
子
(
こ
)
が、
乳
(
ちゝ
)
を
呑
(
の
)
む
時刻
(
じこく
)
が
來
(
き
)
たものか、
眼
(
め
)
を
覺
(
さ
)
まして
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
したため、
賊
(
ぞく
)
は
書齋
(
しよさい
)
の
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて
庭
(
には
)
へ
逃
(
に
)
げたらしい。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
驚
(
おどろ
)
いて
眼
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めたが、たしかに
猫
(
ねこ
)
の
聲
(
こゑ
)
がする、
夢
(
ゆめ
)
か
怪
(
かい
)
か、はね
起
(
お
)
きて
見
(
み
)
たら
枕
(
まくら
)
もとには
例
(
れい
)
の
兒猫
(
こねこ
)
が
座
(
すは
)
つてゐた、どこから
忍
(
しの
)
んで
來
(
き
)
たのやら。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
さあ
其事
(
そのこと
)
で
御座
(
ござ
)
んすとて、
睡
(
ねふ
)
り
覺
(
さ
)
めたる
懷中
(
ふところ
)
の
町
(
まち
)
がくすりくすりと
嘩泣
(
むづか
)
るを、おゝ
好
(
い
)
い
子
(
こ
)
好
(
い
)
い
子
(
こ
)
と、ゆすぶつて
言葉
(
ことば
)
絶
(
た
)
えぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
衝
(
つ
)
と
港口
(
みなとぐち
)
へ
飛
(
と
)
んで
消
(
き
)
えるのを
見
(
み
)
ました……あつと
思
(
おも
)
ふと
夢
(
ゆめ
)
は
覺
(
さ
)
めたが、
月明
(
つきあか
)
りに
霜
(
しも
)
の
薄煙
(
うすけぶ
)
りがあるばかり、
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
に、
尊
(
たふと
)
い
香
(
かう
)
の
薫
(
かをり
)
が
殘
(
のこ
)
つたと。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思へば
風前
(
ふうぜん
)
の
燈
(
ともしび
)
に似たる平家の運命かな。一門
上下
(
しやうか
)
花
(
はな
)
に
醉
(
ゑ
)
ひ、月に
興
(
きやう
)
じ、
明日
(
あす
)
にも
覺
(
さ
)
めなんず榮華の夢に、
萬代
(
よろづよ
)
かけて行末祝ふ、武運の程ぞ淺ましや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
が、この
出來事
(
できごと
)
は
私
(
わたし
)
の
眠氣
(
ねむけ
)
を
瞬間
(
しゆんかん
)
に
覺
(
さ
)
ましてしまつた。
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を
見透
(
みすか
)
すと、
人家
(
じんか
)
の
燈灯
(
ともしび
)
はもう
見
(
み
)
えなくなつてゐた。F
町
(
まち
)
は
夢中
(
むちう
)
で
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎてしまつたのだつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
けふは
妾
(
わたし
)
に
何
(
なに
)
か
言
(
ゆ
)
はれたのがよくよく、くやしかつたとみえまして、
目
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めると、しくしく
泣
(
な
)
きながら、また
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つたんです。
屹度
(
きつと
)
、
酒屋
(
さかや
)
へです。
私
(
わたし
)
は
酒
(
さけ
)
を
憎
(
にく
)
みます。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
墓
(
はか
)
の
中
(
なか
)
に
臥
(
ね
)
てゐる
時分
(
じぶん
)
、まだロミオがお
來
(
き
)
やらぬうちに、
若
(
も
)
し
目
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めたら
何
(
なん
)
とせう? さア
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
その
日
(
ひ
)
の
夢
(
ゆめ
)
はまづ
覺
(
さ
)
めて
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
「
醫者
(
いしや
)
へ
行
(
い
)
つてね。
昨夜
(
ゆうべ
)
の
藥
(
くすり
)
を
戴
(
いたゞ
)
いてから
寐出
(
ねだ
)
して、
今
(
いま
)
になつても
眼
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めませんが
差支
(
さしつかへ
)
ないでせうかつて
聞
(
き
)
いて
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れ」
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
夢
(
ゆめ
)
から
覺
(
さ
)
めた
思
(
おも
)
ひで、
厚
(
あつ
)
ぼつたかつた
顏
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でた、
其
(
そ
)
の
掌
(
て
)
を
膝
(
ひざ
)
に
支
(
つ
)
いて、
氣
(
き
)
も
判然
(
はつきり
)
と
向直
(
むきなほ
)
つた
時
(
とき
)
、
彼
(
かれ
)
は
今
(
いま
)
までの
想像
(
さうざう
)
の
餘
(
あま
)
りな
癡
(
たは
)
けさに
又
(
また
)
獨
(
ひと
)
りで
笑
(
わら
)
つた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、
床
(
とこ
)
なる一刀スラリと拔きて、青燈の光に差し付くれば、爛々たる氷の刃に水も
滴
(
したゝ
)
らんず
無反
(
むそり
)
の
切先
(
きつさき
)
、鍔を
銜
(
ふく
)
んで紫雲の如く
立上
(
たちのぼ
)
る
燒刃
(
やきば
)
の
匂
(
にほ
)
ひ目も
覺
(
さ
)
むるばかり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
さりとて
是
(
こ
)
れにも
隨
(
した
)
がひがたきを、
何
(
なに
)
として
何
(
な
)
にとせば
松野
(
まつの
)
が
心
(
こゝろ
)
の
迷
(
まよ
)
ひも
覺
(
さ
)
め、
竹村
(
たけむら
)
の
君
(
きみ
)
へ
我
(
わ
)
が
潔白
(
けつぱく
)
をも
顯
(
あか
)
されん、
何方
(
いづれ
)
にまれ
憎
(
に
)
くき
人
(
ひと
)
一人
(
ひとり
)
あらば、
斯
(
か
)
くまで
胸
(
むね
)
はなやまじを
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其間
(
そのひま
)
に、
予
(
わし
)
の
消息
(
しらせ
)
で、ロミオが
此
(
この
)
計畫
(
けいくわく
)
を
知
(
し
)
り、
卿
(
おこと
)
が
覺
(
さ
)
めさッしゃる
前
(
まへ
)
に、
此方
(
こち
)
へ
來
(
く
)
ることとならう。
予
(
わし
)
も
共々
(
とも/″\
)
目覺
(
めさめ
)
まで
番
(
ばん
)
をして、
其夜
(
そのよ
)
の
中
(
うち
)
にロミオが
卿
(
おこと
)
をばマンチュアへ
伴
(
つ
)
れて
行
(
いな
)
う。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
まどろみの
夢路
(
ゆめぢ
)
は
覺
(
さ
)
めぬ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
二時
(
やつ
)
さがりに
松葉
(
まつば
)
こぼれて、
夢
(
ゆめ
)
覺
(
さ
)
めて
蜻蛉
(
とんぼ
)
の
羽
(
はね
)
の
輝
(
かゞや
)
く
時
(
とき
)
、
心太
(
ところてん
)
賣
(
う
)
る
翁
(
おきな
)
の
聲
(
こゑ
)
は、
市
(
いち
)
に
名劍
(
めいけん
)
を
鬻
(
ひさ
)
ぐに
似
(
に
)
て、
打水
(
うちみづ
)
に
胡蝶
(
てふ/\
)
驚
(
おどろ
)
く。
行水
(
ぎやうずゐ
)
の
花
(
はな
)
の
夕顏
(
ゆふがほ
)
、
納涼臺
(
すゞみだい
)
、
縁臺
(
えんだい
)
の
月見草
(
つきみさう
)
。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
良久
(
やゝひさ
)
しうありて
奧
(
おく
)
さま
大方
(
おほかた
)
醉
(
ゑい
)
も
覺
(
さ
)
めぬれば、
萬
(
よろづ
)
におのが
亂
(
みだ
)
るゝ
怪
(
あや
)
しき
心
(
こゝろ
)
を
我
(
わ
)
れと
叱
(
しか
)
りて、
歸
(
かへ
)
れば
盃盤狼藉
(
はいばんらうぜき
)
の
有
(
あり
)
さま、
人々
(
ひと/″\
)
が
迎
(
むか
)
ひの
車
(
くるま
)
門前
(
もんぜん
)
に
綺羅星
(
きらほし
)
とならびて、
何某樣
(
たれさま
)
お
立
(
た
)
ちの
聲
(
こゑ
)
にぎはしく
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
うと/\したと思ふうちに眼が
覺
(
さ
)
めた。すると、隣の
室
(
へや
)
で妙な音がする。
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
眗
(
みまは
)
す
顏
(
かほ
)
を、
突然
(
いきなり
)
、
燕
(
つばめ
)
も
蝙蝠
(
かうもり
)
も
飛
(
と
)
ばずに、
柳
(
やなぎ
)
のみどりがさらりと
拂
(
はら
)
ふと、
其
(
そ
)
の
枝
(
えだ
)
の
中
(
なか
)
を
掻潛
(
かいくゞ
)
るばかり、しかも
一段
(
いちだん
)
づいと
高
(
たか
)
く、
目
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めるやうな
廣
(
ひろ
)
い
河原
(
かはら
)
を
下
(
した
)
に、
眞蒼
(
まつさを
)
な
流
(
ながれ
)
の
上
(
うへ
)
に
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日影
(
ひかげ
)
うらうらと
霞
(
かす
)
みて
朝
(
あさ
)
つゆ
花
(
はな
)
びらに
重
(
おも
)
く、
風
(
かぜ
)
もがな
蝴蝶
(
こてふ
)
の
睡
(
ねむ
)
り
覺
(
さ
)
ましたきほど、
靜
(
しづ
)
かなる
朝
(
あした
)
の
景色
(
けしき
)
、
甚之助
(
じんのすけ
)
子供
(
こども
)
ごヽろにも
浮
(
う
)
き
立
(
たち
)
て、
何時
(
いつ
)
より
早
(
はや
)
く
庭
(
には
)
にかけ
下
(
お
)
りれば、
若樣
(
わかさま
)
、と
隙
(
す
)
かさず
呼
(
よ
)
びて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私
(
わたし
)
があけ
番
(
ばん
)
の
時
(
とき
)
、
宵
(
よひ
)
のうたゝねから
覺
(
さ
)
めて
辻
(
つじ
)
へ
出
(
で
)
ると、こゝにつめてゐた
當夜
(
たうや
)
の
御番
(
ごばん
)
が
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
餘
(
あま
)
り
先刻
(
さきほど
)
みな
樣
(
さま
)
のお
強
(
し
)
い
遊
(
あそ
)
ばすが
五月蠅
(
うるさ
)
さに、
一人
(
ひとり
)
庭
(
には
)
へと
逃
(
に
)
げまして、お
稻荷
(
いなり
)
さまのお
社
(
やしろ
)
の
所
(
ところ
)
で
醉
(
ゑ
)
ひを
覺
(
さ
)
まして
居
(
を
)
りましたに、
私
(
わたし
)
は
變
(
へん
)
な
變
(
へん
)
な、をかしい
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひよりまして、
笑
(
わら
)
つて
下
(
くだ
)
さりますな
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
が、
大方
(
おほかた
)
睡
(
ねむり
)
から
覺
(
さ
)
めたものが、
覺束
(
おぼつか
)
なさに
宿
(
しゆく
)
の
名
(
な
)
に
念
(
ねん
)
を
入
(
い
)
れたものと
思
(
おも
)
つたらう。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
莊子
(
さうし
)
が
蝶
(
てふ
)
の
夢
(
ゆめ
)
といふ
世
(
よ
)
に
義理
(
ぎり
)
や
誠
(
まこと
)
は
邪魔
(
じやま
)
くさし
覺
(
さ
)
め
際
(
ぎは
)
まではと
引
(
ひき
)
しむる
利慾
(
りよく
)
の
心
(
こゝろ
)
の
秤
(
はかり
)
には
黄金
(
こがね
)
といふ
字
(
じ
)
に
重
(
おも
)
りつきて
増
(
ま
)
す
寶
(
たから
)
なき
子寶
(
こだから
)
のうへも
忘
(
わす
)
るゝ
小利
(
せうり
)
大損
(
だいそん
)
いまに
初
(
はじ
)
めぬ
覆車
(
ふくしや
)
のそしりも
我
(
わ
)
が
梶棒
(
かぢぼう
)
には
心
(
こゝろ
)
もつかず
握
(
にぎ
)
つて
放
(
はな
)
さぬ
熊鷹主義
(
くまたかしゆぎ
)
に
理窟
(
りくつ
)
はいつも
筋違
(
すぢちがひ
)
なる
内神田
(
うちかんだ
)
連雀町
(
れんじやくちやう
)
とかや
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
掻拂
(
かきはら
)
ふ
手
(
て
)
をぐる/\
捲
(
ま
)
きに、
二捲
(
ふたまき
)
卷
(
ま
)
いてぎり/\と
咽喉
(
のど
)
を
絞
(
し
)
める、
其
(
そ
)
の
絞
(
しめ
)
らるゝ
苦
(
くる
)
しさに、うむ、と
呻
(
うめ
)
いて、
脚
(
あし
)
を
空
(
そら
)
ざまに
仰反
(
そりかへ
)
る、と、
膏汗
(
あぶらあせ
)
は
身體
(
からだ
)
を
絞
(
しぼ
)
つて、
颯
(
さつ
)
と
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
に
目
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めた。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ぐつすりと
寢込
(
ねこ
)
んで
居
(
ゐ
)
た、
仙臺
(
せんだい
)
の
小淵
(
こぶち
)
の
港
(
みなと
)
で——
霜
(
しも
)
の
月
(
つき
)
に
獨
(
ひと
)
り
覺
(
さ
)
めた、
年
(
とし
)
十九の
孫一
(
まごいち
)
の
目
(
め
)
に——
思
(
おも
)
ひも
掛
(
か
)
けない、
艫
(
とも
)
の
間
(
ま
)
の
神龕
(
かみだな
)
の
前
(
まへ
)
に、
凍
(
こほ
)
つた
龍宮
(
りうぐう
)
の
几帳
(
きちやう
)
と
思
(
おも
)
ふ、
白氣
(
はくき
)
が
一筋
(
ひとすぢ
)
月
(
つき
)
に
透
(
す
)
いて
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
掻拂
(
かつぱら
)
ふ
手
(
て
)
を、ぐる/\
捲
(
ま
)
きに、
二捲
(
ふたまき
)
卷
(
ま
)
いてぎり/\と
咽喉
(
のど
)
を
絞
(
し
)
める、
其
(
そ
)
の
絞
(
しめ
)
らるゝ
苦
(
くる
)
しさに、うむ、と
呻
(
うめ
)
いて、
脚
(
あし
)
を
空
(
そら
)
ざまに
仰反
(
のけぞ
)
る、と、
膏汗
(
あぶらあせ
)
は
身體
(
みうち
)
を
絞
(
しぼ
)
つて、
颯
(
さつ
)
と
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
に
目
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めた。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
しか
)
も
刈萱
(
かるかや
)
の
蓑
(
みの
)
いつしかに
露
(
つゆ
)
繁
(
しげ
)
く、
芭蕉
(
ばせを
)
に
灌
(
そゝ
)
ぐ
夜半
(
よは
)
の
雨
(
あめ
)
、やがて
晴
(
は
)
れて
雲
(
くも
)
白
(
しろ
)
く、
芙蓉
(
ふよう
)
に
晝
(
ひる
)
の
蛬
(
こほろぎ
)
鳴
(
な
)
く
時
(
とき
)
、
散
(
ち
)
るとしもあらず
柳
(
やなぎ
)
の
葉
(
は
)
、
斜
(
なゝめ
)
に
簾
(
すだれ
)
を
驚
(
おどろ
)
かせば、
夏痩
(
なつや
)
せに
尚
(
な
)
ほ
美
(
うつく
)
しきが、
轉寢
(
うたゝね
)
の
夢
(
ゆめ
)
より
覺
(
さ
)
めて
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
覺
部首:⾒
20画
“覺”を含む語句
目覺
不覺
覺醒
心覺
眼覺
御覺悟
寢覺
感覺
見覺
錯覺
幻覺
小才覺
觸覺
淨覺院
覺束
覺悟
才覺
自覺
知覺
寐覺
...