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轉寢
扨其黄昏は、
少し
風の
心持、
私は
熱が
出て
惡寒がしたから
掻卷にくるまつて、
轉寢の
内も
心が
置かれる
小説の
搜索をされまいため、
貸本を
藏してある
件の
押入に
附着いて
寢た。
成程、
其の
八疊に
轉寢をすると、とろりとすると
下腹がチクリと
疼んだ。
然も
刈萱の
蓑いつしかに
露繁く、
芭蕉に
灌ぐ
夜半の
雨、やがて
晴れて
雲白く、
芙蓉に
晝の
蛬鳴く
時、
散るとしもあらず
柳の
葉、
斜に
簾を
驚かせば、
夏痩せに
尚ほ
美しきが、
轉寢の
夢より
覺めて