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見覺
予が
面體に
見覺え
有かとの御尋なり此時忠右衞門
畏まり奉る上意の通り私し儀山田奉行
勤役中先年阿漕が浦なる
殺生禁斷の場所へ
夜々網を
はて
誰れでも
出て
來よ
此姿に
何として
見覺えがあるものかと
自問自答折しも
樓婢のかなきり
聲に、
池の
端から
來た
車夫さんはお
前さんですか。
見れば一々寶澤へ
餞別に
遣はしたる品に
相違なし依て平野村の者より右の次第を濱奉行に
訴へ私し共
見覺ある次第を
納戸から
取り
出して
貰つて、
明るい
所で
眺めると、
慥かに
見覺のある二
枚折であつた。