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樓婢
はて
誰れでも
出て
來よ
此姿に
何として
見覺えがあるものかと
自問自答折しも
樓婢のかなきり
聲に、
池の
端から
來た
車夫さんはお
前さんですか。
洗ひて
上りくれよとは
扨も
意外わからぬといへば
是れ
程わからぬ
話はなし
何とせば
宜からんかと
佇立たるまゝ
躊躇へば
樓婢はもどかしげに
急がしたてゝ
お
客さまは
此處にと
示したるまゝ
樓婢は
急ぎ
下り
行きたり
障子の
外に
暫時たゆたひしが
果つべきことならずと
身を