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白氣
然うして
龕燈を
持つ
手を
横穴に
突出して、
内部を
照らして
見やうとしたが、
其光の
當る
部分は、
白氣濛々として
物凄く、
何が
何やら
少しも
分らぬ。
實際、
遠く
是を
望んだ
時は——もう
二三日、
奧州の
旅に
馴れて
山の
雪の
珍しくない
身も、
前途に
偶と
土手を
築いて
怪しい
白氣の
伏勢があるやうに
目を
欹てたのであつた。
ぐつすりと
寢込んで
居た、
仙臺の
小淵の
港で——
霜の
月に
獨り
覺めた、
年十九の
孫一の
目に——
思ひも
掛けない、
艫の
間の
神龕の
前に、
凍つた
龍宮の
几帳と
思ふ、
白氣が
一筋月に
透いて