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知覺
況して少しでも
腦症のあるものは、
妙に氣が
倦むで、
耳が鳴る、眼が
眊む、頭腦が惡く
岑々して、
他の頭腦か自分の頭か解らぬやうに
知覺が
鈍る。周三も其の通りだ。
障子の
外で
野中さん、
野中さんと
呼ぶ
聲が
二度程聞えた。
宗助は
半睡の
裡にはいと
應へた
積であつたが、
返事を
仕切らない
先に、
早く
知覺を
失つて、
又正體なく
寐入つてしまつた。
さうして
其揷入した
酸漿の
根が
知覺のないまでに
輕微な
創傷を
粘膜に
與へて
其處に
黴菌を
移植したのであつたらうか、それとも
毎日煙の
如く
浴せ
掛けた
埃から
來たのであつたらうか