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甚之助
其顏を
不審げに
仰ぎて、
姉樣人形は
下さるか、
進げますると
僅かに
諾く
令孃、
甚之助は
嬉しく
立あがつて、
勝つた
勝つた。
恐ろしきは
飽くまで
恐ろしく、
塵ほどの
事身にしみぬべし、
男女の
中もかヽる
物にや、
甚之助の
吾助を
慕ふは
夫れとも
異なりて
淡き
物なれど、
我が
好む
人の
一言重く
路は
夫れほどで
無けれど
行き
限りにては
我れも
心配なり
子供たちも
淋しかるべく、
甚之助は
其うちにも
慕ひて、
中姉樣ならでは
夜の
明けぬに、
朝夕の
駄々いかに
増さりて