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其顏
兒玉の
言々句々、
肺腑より
出で、
其顏には
熱誠の
色動いて
居るのを
見て、
人々は
流石に
耳を
傾むけて
謹聽するやうになつた。
其顏を
不審げに
仰ぎて、
姉樣人形は
下さるか、
進げますると
僅かに
諾く
令孃、
甚之助は
嬉しく
立あがつて、
勝つた
勝つた。
昨日の
興奮の
爲にか、
彼は
疲れて
脱然して、
不好不好ながら
言つてゐる。
彼の
指は
顫へてゐる。
其顏を
見ても
頭が
酷く
痛んでゐると
云ふのが
解る。