其顏そのかほ)” の例文
新字:其顔
兒玉こだま言々句々げん/\くゝ肺腑はいふよりで、其顏そのかほには熱誠ねつせいいろうごいてるのをて、人々ひと/″\流石さすがみゝかたむけて謹聽きんちやうするやうになつた。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其顏そのかほ不審いぶかしげにあふぎて、姉樣人形ねえさまにんぎやうくださるか、げまするとわづかにうなづ令孃ひめ甚之助じんのすけうれしくたちあがつて、つたつた。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
昨日きのふ興奮こうふんためにか、かれつかれて脱然ぐつたりして、不好不好いやいやながらつてゐる。かれゆびふるへてゐる。其顏そのかほてもあたまひどいたんでゐるとふのがわかる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あいちやんはじツかんがはじめました、『さて、わたしがそれをうちれてつてうしやう?』やがてまたひどうなつたので、あいちやんはおどろいて其顏そのかほ見入みいりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
これ大弓場だいきうば爺樣ぢいさんなり。ひとへば顏相がんさうをくづし、一種いつしゆ特有とくいうこゑはつして、「えひゝゝ。」と愛想あいさうわらひをなす、其顏そのかほては泣出なきださぬ嬰兒こどもを——、「あいつあ不思議ふしぎだよ。」とお花主とくい可愛かはいがる。
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
小六ころくちやすこ躊躇ちうちよしてゐたが、あにからまた二聲ふたこゑほどつゞけざまにおほきなこゑけられたので、やむひく返事へんじをして、ふすまからかほした。其顏そのかほ酒氣しゆきのまだめないあかいろふちびてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そして、先生せんせいた、一心不亂いつしんふらん此精神このせいしんもつ兒童じどうみちびき、何時いつたのしげにえ、何時いつ其顏そのかほ希望きばうかゞやいてました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
赤子あかごうなつたので、うかしたのではないかと、あいちやんは氣遣きづかはしげに其顏そのかほのぞみました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
此子このこ笑顏ゑがほのやうに直接ぢかに、眼前まのあたり、かけあしとゞめたり、くるこゝろしづめたはありませぬ、此子このこなん小豆枕あづきまくらをして、兩手りやうてかたのそばへ投出なげだして寢入ねいつてとき其顏そのかほといふものは
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
無禮者ぶれいものめ』と王樣わうさままをされました、『其顏そのかほなんだ!』つてあいちやんの背後うしろへおでになりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)