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其顏
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そのかほ
兒玉の
言々句々、
肺腑より
出で、
其顏には
熱誠の
色動いて
居るのを
見て、
人々は
流石に
耳を
傾むけて
謹聽するやうになつた。
其顏を
不審げに
仰ぎて、
姉樣人形は
下さるか、
進げますると
僅かに
諾く
令孃、
甚之助は
嬉しく
立あがつて、
勝つた
勝つた。
昨日の
興奮の
爲にか、
彼は
疲れて
脱然して、
不好不好ながら
言つてゐる。
彼の
指は
顫へてゐる。
其顏を
見ても
頭が
酷く
痛んでゐると
云ふのが
解る。
愛ちやんは
熟と
考へ
初めました、『さて、
私がそれを
家へ
伴れて
行つて
何うしやう?』やがて
又甚く
唸つたので、
愛ちやんは
驚いて
其顏に
見入りました。
これ
大弓場の
爺樣なり。
人に
逢へば
顏相をくづし、
一種特有の
聲を
發して、「えひゝゝ。」と
愛想笑をなす、
其顏を
見ては
泣出さぬ
嬰兒を——、「あいつあ
不思議だよ。」とお
花主は
可愛がる。
小六は
茶の
間で
少し
躊躇してゐたが、
兄から
又二聲程續けざまに
大きな
聲を
掛けられたので、
已を
得ず
低い
返事をして、
襖から
顏を
出した。
其顏は
酒氣のまだ
醒めない
赤い
色を
眼の
縁に
帶びてゐた。
赤子が
復た
唸つたので、
何うかしたのではないかと、
愛ちやんは
氣遣はしげに
其顏を
覘き
込みました。
此子の
笑顏のやうに
直接に、
眼前、かけ
出す
足を
止めたり、
狂ふ
心を
靜めたはありませぬ、
此子が
何の
氣も
無く
小豆枕をして、
兩手を
肩のそばへ
投出して
寢入つて
居る
時の
其顏といふものは
『
無禮者め』と
王樣が
申されました、『
其顏は
何だ!』
云つて
愛ちやんの
背後へお
出でになりました。