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寢入
此子の
笑顏のやうに
直接に、
眼前、かけ
出す
足を
止めたり、
狂ふ
心を
靜めたはありませぬ、
此子が
何の
氣も
無く
小豆枕をして、
兩手を
肩のそばへ
投出して
寢入つて
居る
時の
其顏といふものは
例の
酒癖何處の
店にか
醉ひ
倒れて
寢入りても
仕舞しものかそれなればいよいよ
困りしことなり
家にても
嘸お
案じ
此家へも
亦氣の
毒なり
何とせんと
思ふ
程より
積る
雪いとゞ
心細く
燭涙ながるゝ
表二階に
一人取殘されし
新田のお
高
次の間に
寢入し
風の吉兵衞は
委く聞取り扨こそ案に
違はざりし山賊の
張本なりけり
斯深々と
穽の内に落し身の
今更迯とも
迯さんや去乍ら大望のある身を
窺へば
晝の
疲かすや/\と
休み
寢入居り夜具の上より
床も
徹れと氷の
刄情なくも只一
突女は
苦痛の聲も得立ず
敢なくも
息絶たれば
仕濟したりと
床の下より
件の
服紗包を