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燭涙
読み方 | 割合 |
しょくるい | 66.7% |
しよくるゐ | 33.3% |
時
遷るにつれて黄蝋の火は次第に
炭の
気におかされて暗うなり、
燭涙ながくしたたりて、
床の上には
断れたる
紗、落ちたるはな
片あり。
曲者は蝋燭を吹消さずに逃去りしと見え燭台の
頂辺に
氷柱の如く垂れたる
燭涙は黒き汚れの色を帯ぶ、
個は蝋燭の自から燃尽すまで
燃居たるしるしなり。
例の
酒癖何處の
店にか
醉ひ
倒れて
寢入りても
仕舞しものかそれなればいよいよ
困りしことなり
家にても
嘸お
案じ
此家へも
亦氣の
毒なり
何とせんと
思ふ
程より
積る
雪いとゞ
心細く
燭涙ながるゝ
表二階に
一人取殘されし
新田のお
高