燭涙しょくるい)” の例文
うつるにつれて黄蝋の火は次第にすみにおかされて暗うなり、燭涙しょくるいながくしたたりて、ゆかの上にはちぎれたるうすぎぬ、落ちたるはなびらあり。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
曲者は蝋燭を吹消さずに逃去りしと見え燭台の頂辺てっぺん氷柱つらゝの如く垂れたる燭涙しょくるいは黒き汚れの色を帯ぶ、は蝋燭の自から燃尽すまで燃居もえいたるしるしなり。
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)