-
トップ
>
-
酒氣
彼は
只其癖の
舌を
鳴らしてごくりと
唾を
嚥むのみであつた。
次の
朝に
成つて
酒氣が
悉く
彼の
身體から
發散し
盡したら
彼は
平生の
卯平であつた。
……
酒氣が
天井を
衝くのではない、
陰に
籠つて
疊の
燒けこげを
轉げ
𢌞る。あつ
燗で
火の
如く
惡醉闌なる
最中。
あゝ
貴君のやうにもないお
力が
無理にも
商買して
居られるは
此力と
思し
召さぬか、
私に
酒氣が
離れたら
坐敷は三
昧堂のやうに
成りませう