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出來事
しかしその
電燈の
光に
照らされた
夕刊の
紙面を
見渡しても、やはり
私の
憂鬱を
慰むべく
世間は
餘りに
平凡な
出來事ばかりで
持ち
切つてゐた。
勿論、
此樣事には
何も
深い
仔細のあらう
筈はない。つまり
偶然の
出來事には
相違ないのだが、
私は
何となく
異樣に
感じたよ。
翌朝彼は
激しき
頭痛を
覺えて、
兩耳は
鳴り、
全身には
只ならぬ
惱を
感じた。
而して
昨日の
身に
受けた
出來事を
思ひ
出しても、
恥しくも
何とも
感ぜぬ。