“偶然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぐうぜん55.6%
ふと18.2%
ゆくりなく3.0%
ひよつくり3.0%
ひょっ2.0%
チャンス2.0%
ひょっと2.0%
ひよつと2.0%
ふつと1.0%
あだかも1.0%
たま/\1.0%
つい1.0%
ひょいと1.0%
ひょっこり1.0%
ひよいと1.0%
ひよつ1.0%
ひよつこり1.0%
ふっと1.0%
ふつ1.0%
アクシデント1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こうした周囲しゅうい空気くうきは、ぼくをして、偶然ぐうぜんにもこころふかかんじたいっさいをける機会きかいをば、永久えいきゅうにうしなわしてしまったのでした。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
我は彼等を識らざりき、されど世にはかゝること偶然ふとある習ひとて、そのひとり、チヤンファはいづこに止まるならんといひ 四〇—四二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「すべて歓楽の裏一重には悲哀かなしみがあるとか申しますが、その悲哀が偶然ゆくりなくあなたを襲うたのでござりましょうよ! おや、夜鶯ようぐいすが啼いております」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ちひさな芝栗しばぐり偶然ひよつくりちてさへおどろいてさわぐだらうとおもふやうに薄弱はくじやく蟋蟀こほろぎがそつちこつちでかすかにいてる。一寸ちよつと他人ひとにはれぬ場所ばしよであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「大丈夫とは思うけれど、偶然ひょっとするとおゆうは帰って来ないかも知れないね。不断から善く死ぬ死ぬと言っていたから」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その青年に、つい目と鼻の位置にすわられると、美奈子は顔をあからめて、じっとうつむいてしまう女だった。が、心のうちでは思った、何とう不思議な偶然チャンスだろう。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
一思ひとおもいに死だと思わせて置きたいな。そうでもない偶然ひょっとおれが三日も四日も藻掻もがいていたと知れたら……
若し偶然ひよつとして韲物あへものの中に胡桃くるみからでもまざつてらうなら、私は何の気もつかずに、夫をもついみ割つたかも知れぬ。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
「始は待合所の入口いりくちの所でちよつと顔が見えたのじや。余り意外ぢやつたから、僕は思はず長椅子ソオフワアを起つと、もう見えなくなつた。それから有間しばらくして又偶然ふつと見ると、又見えたのじや」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此の日偶然あだかも○○不動の縁日。
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
日頃あるにかひなき自分をば慰めいたはり、教へさとしてくれるすべての親しい人達から遠く離れて全く気儘になつた一身をば偶然たま/\かうした静な淋しいさかひに休息させると
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
『赤いようなのでやっています』と答えますが、嘘を言っている証拠には赤いようなのに変えても矢っ張り釣れません。そこで此方は偶然ついしたようにして実は態と先方むこうの糸へ引っからめてやります。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
もしまた堤を通りかかった者が偶然ひょいと船の中の殿様をお見かけして、折よく持っていた楊弓で射たと致しますと、あまり物事が都合よくまとまり過ぎます。
みちで偶然ひょっこり顔見知りの人に遇いはせぬか、雑談はなしのついでにも困った問題に触れはせぬかと、常に戦々兢々びくびくとして、寝ても、覚めても、少しも心の安まる暇はありません。
融和促進 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
若し又どてを通りかゝつた者が偶然ひよいと船の中の殿樣を御見かけして、折よく持つて居た楊弓で射たと致しますと、あまり物事が都合よく纒り過ぎます。そんな廻り合せは滅多にある筈は御座いません
ある主人しゆじん内儀かみさんは偶然ひよつとした機會はづみがあつて勘次かんじはなしをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
翌朝主人の起きた時、お夏の姿は何処を探しても見えなかつた。一月許り前になつて偶然ひよつこり帰つて来た。が其時はモウ本当の愚女ばかになつて居て、主人であつた人に逢ふても、昔の礼さへ云はなんだ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
程立ほどたって力無げに悄然しょんぼりと岩の間から出て、流のしもの方をじっとていたが、きあえぬなみだはらった手の甲を偶然ふっと見ると、ここには昨夜ゆうべの煙管のあと隠々いんいんと青く現れていた。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
偶然ふつと此咄が嬢様のお耳に入つたから、嬢様は吃驚びつくり遊ばして飛んでもない事をしたと後悔をなすつた。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「だって、あなたも私も、同じ小娘じゃアありませんか。私があなたのように不幸でなく、あなたが私のように幸せでないのは、いわば偶然アクシデントよ。」