“偶然（チャンス）” の例文

その青年に、つい目と鼻の位置に坐（すわ）られると、美奈子は顔を赧（あから）めて、じっと俯（うつ）むいてしまう女だった。が、心の裡（うち）では思った、何と云（い）う不思議な偶然（チャンス）だろう。

真珠夫人 (新字新仮名) ／ 菊池寛(著)

さう思ふと同時に、不思議な偶然（チャンス）の向うには、思ひがけない幸福でもが、潜んでゐるやうに思はれて、先刻まで凋れかへつてゐた美奈子の心は、別人のやうに晴れやかに、弾んで来た。

真珠夫人 (新字旧仮名) ／ 菊池寛(著)

が、心の裡では思つた、何と云ふ不思議な偶然（チャンス）だらう。その人に逢へると思つた場所では、逢へないで、悄然と帰つて来る電車の中で、ヒヨツクリ乗り合はす。何と云ふ不思議な偶然（チャンス）だらう。

真珠夫人 (新字旧仮名) ／ 菊池寛(著)

“偶然”の解説

偶然（ぐうぜん、en: contingency）とは、必然性の欠如を意味し、事前には予期しえないあるいは起こらないこともありえた出来事のことである。
副詞的用法では「たまたま」と同義。ある程度確実である見込みは蓋然と呼ぶ。対語は必然。また、偶然ないし偶然性は可能性の下位語に該当する。
(出典:Wikipedia)

偶	常用漢字 中学 部首:⼈ 11画
然	常用漢字 小４ 部首:⽕ 12画