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ひょっと
危なく声を立てようとして、待てしばし、
万一敵だったら、其の時は
如何する? この苦しみに輪を掛けた新聞で読んでさえ
頭の
髪の
弥竪そうな目に
遭おうも
知ぬ。
しかし
万一もし盗んでいたとすると
放下って置いては
後が悪かろうとも思ったが、一度見られたら
一思に死だと思わせて置きたいな。そうでもない
偶然おれが三日も四日も
藻掻ていたと知れたら……
それでも葛籠を明けて中から出る品物がえらい紋付や
熨斗目や
縫の
裲襠でもあると、
斯う云う貧乏長屋に有る物でないと云う処から、
偶然して足を附けられてはならんから