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弥竪
と思うと、
慄然として、
頭髪が
弥竪ったよ。しかし待てよ、
畑で
射られたのにしては、この灌木の中に居るのが
怪しい。
あな
凄じ、と貫一は
身毛も
弥竪ちて、
縋れる枝を放ちかねつつ、看れば、
叢の底に
秋蛇の行くに似たる
径有りて、ほとほと
逆落に
懸崖を
下るべし。
危なく声を立てようとして、待てしばし、
万一敵だったら、其の時は
如何する? この苦しみに輪を掛けた新聞で読んでさえ
頭の
髪の
弥竪そうな目に
遭おうも
知ぬ。