“よだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
弥立11.7%
11.7%
竦立10.4%
依田7.8%
慄立7.8%
悚立6.5%
彌立5.2%
5.2%
逆立3.9%
与田2.6%
余唾2.6%
弥竪2.6%
2.6%
竪立2.6%
餘唾2.6%
夜発1.3%
夜發1.3%
夜立1.3%
弥起1.3%
戰悚1.3%
1.3%
涎垂1.3%
1.3%
與田1.3%
辣立1.3%
逆竪1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
僕は下宿屋や学校の寄宿舎の「まかない」にうえしのいでいるうちに、身の毛の弥立よだつ程厭な菜が出来た。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
(牛の肉の中で一番上等がの舌だといふのは可笑をかしい。よだれで粘々ねばねばしてる。おまけに黒い斑々ぶちぶちがある。歩け。こら。)
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
彼は「今では、最早もはや馴れましたが、此処ここへ来た当座は、実に身の毛も竦立よだつ様な恐ろしい事が、度々ありました」というので、弟はひざを進めて、「一躰いったい、それは如何どんな事だった」といて訊ねたので
死体室 (新字新仮名) / 岩村透(著)
その上に渡りがついている、美作様や左近将監様から、それとなくお町奉行の依田よだ様のほうへ、ご内意が行っているはずだ。何をやろうと後難は受けない。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
成程なるほど先刻さつきみせ田舎者ゐなかもの土左衛門どざゑもんだから、悪人あくにんながらも心持こゝろもちはしない、慄立よだつたが、土左衛門どざゑもん突出つきだしてしまへとふので、仕事師しごとし手鍵てかぎつてたり
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
と行逢うものは身の毛を悚立よだてて、鶯の声のなまめいて濡れたのさえ、昼間も時鳥ほととぎすく音を怪む。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また昨日きのふ今日けふ新墓しんばか死人しびと墓衣はかぎくるまってかくれてゐよともはッしゃれ。いたばかりでも、つね身毛みのけ彌立よだったが、大事だいじみさをつるためなら、躊躇ちゅうちょせいで敢行してのけう。
眼を閉じて狂瀾のえ猛っているこの海を想えば、身の毛のよだつなぞとは、いうも愚か! 生きてこの国へ漂い着いている我々自身の運命を、ただ不思議と考えるほかはないのです。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
この恐ろしい混沌の中から逃げ出そうと必死になって這いずり廻ると、自分の掌に苔のようなものや爬虫類の肌のようなヌルヌルしたものがまつわりつき、思わずゾッと身の毛を逆立よだたせる。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
飛行機がハワイに着くと、与田よださんが迎えに来てくれて、ホノルルの本町通りで自身経営しているシティ・グリルというのへ連れて行かれ、ここでアメリカにおける最初の食事をとったわけです。
ハワイの食用蛙 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
あながち人丸ひとまろ赤人あかひと余唾よだねぶるでもなく、もとより貫之つらゆき
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
あなすさまじ、と貫一は身毛みのけ弥竪よだちて、すがれる枝を放ちかねつつ、看れば、くさむらの底に秋蛇しゆうだの行くに似たるこみち有りて、ほとほと逆落さかおとし懸崖けんがいくだるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
Bは、この言葉を聞いて身の毛がよだった。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし爾後蛇を見るごと、身の毛竪立よだちて怖れたそうだ。
あながち人丸赤人の餘唾よだねぶるでも無くもとより貫之定家の糟粕さうはくをしやぶるでも無く自己の本ママ屹然として山嶽と高きを爭ひ日月と光を競ふ處實に畏るべく尊むべく覺えず膝を屈するの思ひ有之候。
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
常ながらおもて通るは夜発よだちして多摩よりのぼる牛車ぎうしやかもあはれ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
常ながらおもて通るは夜發よだちして多摩よりのぼる牛車ぎうしやかもあはれ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
細作さいさく(密偵)どもの告ぐるを聞けば、秀吉は急に宿を引き払って、帰国する気配あり、夜立よだちの動き見ゆ——とのことに、これはいかぬと思い直し、万一
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とこう想い浮べましたら、にわかに身の毛が弥起よだって、手も足も烈しく震えました。ふらふらとして其処へたおれそうにもなる。とても躊躇ためらわずにはいられませんのでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
なかえたるにくをむしや——むしやらへるさまは、戰悚よだつばかりなりと。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
悪しと身の毛をよだたせたことは、のちにはこれことごとく次なる幸福へ到る段階のものばかり。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
流石覚悟を極めたりしも又今更におもはれて、一期の大事死生の岐路ちまたと八万四千の身の毛よだたせ牙咬定かみしめてまなこみはり、いざ其時はと手にして来し六分のみの柄忘るゝばかり引握むでぞ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
『中學に、與田よだといふ先生がゐませんか?』
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「厘毫の間違いが地獄、極楽の分れ目」という坊主の説教をそのままに、彼女は自分自身を陥れる、身の毛の辣立よだつ地獄絵巻を、彼女自身に繰り拡げて行ったのであった。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
牢の入口なるかんぬきの取りはずさるるひびきいとどあやしうすさまじさは、さすがに覚悟せる妾をして身の毛の逆竪よだつまでに怖れしめ、生来せいらい心臓の力弱き妾はたちま心悸しんき昂進こうしんを支え得ず、鼓動乱れて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)