よだ)” の例文
それはそれは怖ろしいおかお、と言う時にお藤自身もゾッとして四辺あたりを見廻し、お君もあの時の面が眼の前に現われて身の毛がよだちました。
眼を閉じて狂瀾のえ猛っているこの海を想えば、身の毛のよだつなぞとは、いうも愚か! 生きてこの国へ漂い着いている我々自身の運命を、ただ不思議と考えるほかはないのです。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
僕が機関長になった時の体験を話したら身の毛がよだつだろうよ君等は……まあ聞き給え……モウ船室ケビンには用は無いだろう。ナニ、書物を読みたい。書物なんかは大概にしとくがいいね。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんなものがあるわけはないが、兵馬は、あの芝の松原の、お浜のひどい殺され方を思いやって身の毛がよだつのでありました。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)