-
トップ
>
-
逆竪
切髪は乱れ
逆竪ちて、
披払と
飄る
裾袂に
靡されつつ
漂しげに行きつ留りつ、町の南側を
辿り辿りて、鰐淵が住へる横町に
入りぬ。
さりながら今より思い合わすれば、
如何に
盲目蛇物に
怖じずとはいいながら、かかる危険
極まれる薬品を枕にして
能くも安々と
睡り得しことよと、身の毛を
逆竪つばかりなり。
牢の入口なる
閂の取り
外さるる
響いとど
怪しう
凄まじさは、さすがに覚悟せる妾をして身の毛の
逆竪つまでに怖れしめ、
生来心臓の力弱き妾は
忽ち
心悸の
昂進を支え得ず、鼓動乱れて