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逆竪
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さかだ
切髪は乱れ
逆竪ちて、
披払と
飄る
裾袂に
靡されつつ
漂しげに行きつ留りつ、町の南側を
辿り辿りて、鰐淵が住へる横町に
入りぬ。
さりながら今より思い合わすれば、
如何に
盲目蛇物に
怖じずとはいいながら、かかる危険
極まれる薬品を枕にして
能くも安々と
睡り得しことよと、身の毛を
逆竪つばかりなり。
彼は
強ひて目を
塞ぎ、身の
顫ふをば吾と吾手に
抱窘めて、恨は忘れずとも
憤は忍ぶべしと、
撻たんやうにも己を制すれば、髪は
逆竪ち
蠢きて