竦立よだ)” の例文
永い間忘れていた過去の記憶……石狩川に陥ち込んだ以前の、身の毛も竦立よだつ記憶の数々が、一ペンにズラリッと頭の中でよみがえってしまったのです。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼は「今では、最早もはや馴れましたが、此処ここへ来た当座は、実に身の毛も竦立よだつ様な恐ろしい事が、度々ありました」というので、弟はひざを進めて、「一躰いったい、それは如何どんな事だった」といて訊ねたので
死体室 (新字新仮名) / 岩村透(著)
彼等は幾度か身の毛も竦立よだつ浮き沈みに出合った揚句、所謂「度胸一つがすべての資本」という悟りを開いております。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
初花楼に対するお役人衆の憎しみの強さよと云ふ矢来外の人々のつぶやき、ため息の音、笹原を渡る風の如くどよめく有様、身も竦立よだつばかりなり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こうして向い合って立っている——ということは真に身の毛も竦立よだつ危険千万な運命と、自分自身の運命とを結びつけようとしている事になるのです。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかも、その宝石が、間もなく私を身の毛も竦立よだつ地獄に連れて行こうとは……そうしてリヤトニコフの死後の恋を物語ろうとは、誰が思い及びましょう。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……が……その時のお八代さんの胆玉きもたまわりようばっかりは、今思い出しても身の毛が竦立よだちます。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
思わず身の毛が竦立よだつものがあるのを、記者はどうしても否定することが出来ないのである。
鼻の表現の影響の深刻さ、ここに到って実に身の毛も竦立よだつ位であります。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
話だけでも身の毛が竦立よだつようである。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
実に身の毛も竦立よだつばかりである。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)