慄立よだ)” の例文
おもはず慄立よだてたのは、さく十四年じふよねん五月ごぐわつ二十三日にじふさんにち十一時じふいちじ十分じつぷん城崎きのさき豐岡とよをか大地震おほぢしん大火たいくわ號外がうぐわいると同時どうじであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
成程なるほど先刻さつきみせ田舎者ゐなかもの土左衛門どざゑもんだから、悪人あくにんながらも心持こゝろもちはしない、慄立よだつたが、土左衛門どざゑもん突出つきだしてしまへとふので、仕事師しごとし手鍵てかぎつてたり
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
その時何気なく四辺を見ると私のすぐ側の雑草の中に巨大な一匹のボルネオ虎が毒矢に貫かれて死んでいる。私は思わず飛び上がった。身の毛の慄立よだつ思いをしながら死骸の側にたたずんだ。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
特にコンナ事にかけては気の弱いのを特徴とする若い、美しい西洋婦人が、コレ程の刺青をするのに、どれ程の気強さと、忍耐力を要したかを考えただけでも身の毛が慄立よだつくらいであった。
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
慄立よだてているが、困ったものじゃ
ふたツもみつツも。わたしなにはなすのだらう、わたしなにはなすのだらう、とりがものをいふと慄然ぞつとして慄立よだつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)