“径”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
みち51.7%
こみち31.5%
わたり4.5%
けい3.4%
ただ2.2%
さしわたし2.2%
わた2.2%
さしわた0.6%
わたし0.6%
サシワタシ0.6%
ミチ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼らは高い山壁の傾斜層に細々としたみちをつけた。さうして、彼らは溪流を望んだ岩角でひそかに彼らの逞しい子孫を産んでいつた。
静かなる羅列 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
さて、聞かっしゃい、わしはそれからひのきの裏を抜けた、岩の下から岩の上へ出た、の中をくぐって草深いこみちをどこまでも、どこまでも。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
又曰、(五雑組おなじつゞき)恵王けいわうわたりいつすんたま前後車をてらすこと十二じようの物はむかしの事、今天府みかどのくらにも夜光珠やくわうのたまはなしと明人みんひと謝肇淛しやてうせつ五雑組ござつそにいへり。
さまで大きくもあらぬけい六寸程の比較的若木わかぎであるが、魚の背骨せぼねの一方を削った様に枝は皆北方へ出て、南へは唯一本しか出て居ない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
くらうときにははしを投じ、したるときにはち、ただちにいて診したのは、少時のにがき経験を忘れなかったためだそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
さしわたし何十尺の円をえがいて、周囲に鉄の格子をめた箱をいくつとなくさげる。運命の玩弄児がんろうじはわれ先にとこの箱へ這入はいる。円は廻り出す。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大なるはわたり一尺二三寸ばかり、八九寸六七寸なるもあり、大小は和尚の徳におうずといひつたふとぞ。台の高さはいづれも一尺ばかりなりと語られき。
また皮の表にはさしわたし四寸の的を書き、そのほかのところに大小の星を二十三、栗色の地に白く塗り出すのが作法だ。
備前名弓伝 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
野面のづら御影みかげに、乾かぬ露が降りて、いつまでも湿しっとりとながめられるわたし二尺の、ふちえらんで、鷺草さぎそうともすみれとも片づかぬ花が、数を乏しく、行く春をぬすんで、ひそかに咲いている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
サシワタシ一丈あまりの車の輪の様なオホワに、数多の竹のの放射したものに、天幕を一重或は二重にとりつけ、其陰に祇園巴ギヲントモヱの紋のついた守り袋をげ、更に其下に三尺ほどづゝ間を隔てゝ
盆踊りと祭屋台と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さうして其処ソコで、まどろんで居る中に、悠々ウラウラと長い春の日も、暮れてしまつた。嬢子は、家路と思ふミチを、あちこち歩いて見た。脚はイバラトゲにさゝれ、袖は、木のズハエにひき裂かれた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)