さしわたし)” の例文
旧字:
さしわたし何十尺の円をえがいて、周囲に鉄の格子をめた箱をいくつとなくさげる。運命の玩弄児がんろうじはわれ先にとこの箱へ這入はいる。円は廻り出す。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ああ、古花甚平さん。あの人かア。——それから、今度は、大宗寺だいそうじの庭に墜ちたさしわたしが五十センチある隕石を後で掘りだしたそうだが、あれは今誰が持っているの」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その翌日、漁師の張公という男が、蘇隄で一疋のすっぽんを獲ったがさしわたし二尺あまりもあった。漁師はそれを秋壑のやしきに持って往って売った。秋壑の失敗はそれから三年にならないうちにった。
緑衣人伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
目はさしわたし一尺の銀むく、これだけでも一寸ちょっとしのげますな。そうして瞳が赤銅です。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)