“棘”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とげ80.6%
いばら15.3%
はり1.4%
いら0.7%
0.7%
ばら0.7%
トゲ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かれらが女を避けるのは、彼女の立ち居があまりに乱暴で、とげとげしくって、また仮借のないすごいような毒口をきくからであった。
雨あがる (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
露にぬれた牧場の草を踏み分け、蜘蛛くもいばらを払ひのけながら、メンデルの峠へ通じる自動車道の、とあるカーヴへ姿を現はしました。
けむり(ラヂオ物語) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
時化しけつづき西風強く、夜は絶えて漁火いざりすら見ね、をりをりに雨さへ走り、稲妻のさをうつりに、鍵形かぎがたの火の枝のはりひりひりとき光なす。其ただちとどろく巻波まきなみ
「そうか」といらだった目でぎろっと折竹を見て、「君もか⁈ このダネック探検隊エキスペジションの……隊長だけが帰って何になる。それとも、君らが死にたいというなら、別だがね」
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
だが、お民の母性的注意深さも、それには敗けて居ず、今日も京子の後からついて来た。京子はそれに反撥する弾条ばね仕掛けのようなげしい早足で歩きながらお民を振り返った。
春:――二つの連作―― (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
闇の中から突然姿を現わす怪物のような野生仙人掌ノオバアルきもを冷し、人間よりも丈の高い、巨大な竜舌蘭アロエースの葉のばらに額を打ちつけながら、なおもそろそろと道なきに道を求めて漂流すること一ときあまり
さうして其処ソコで、まどろんで居る中に、悠々ウラウラと長い春の日も、暮れてしまつた。嬢子は、家路と思ふミチを、あちこち歩いて見た。脚はイバラトゲにさゝれ、袖は、木のズハエにひき裂かれた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)