“こみち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
小径52.8%
18.1%
小路10.7%
5.2%
小徑4.2%
小道2.6%
小逕1.9%
細径1.0%
1.0%
小途0.6%
径路0.6%
径道0.6%
徑路0.3%
小道路0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あたしが花壇のそばの小径こみちを歩いていますと、開け放したお隣りの二階の窓から、男と女がはげしく言い争う声がきこえて来ました。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
帰路きろ余は少し一行におくれて、林中りんちゅうにサビタのステッキをった。足音がするのでふっと見ると、むこうのこみちをアイヌが三人歩いて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
騎馬の兵士が大久保柏木かしわぎ小路こみちを隊をなしてせ廻るのは、はなは五月蠅うるさいものである。いな五月蠅いではないしゃくにさわる。
もりしたこみちけば、つちれ、落葉おちばしめれり。白張しらはり提灯ちやうちんに、うす日影ひかげさすも物淋ものさびし。こけし、しきみれたるはかに、もんのみいかめしきもはかなしや。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「私、こんなにおそく、この寂しい小徑こみちにあなたをお殘ししては置けない氣がします、あなたが馬にお乘りになれるのを見るまでは。」
一つの小道こみちには神官しんかん見張小屋みはりごやっています、それでおそくなりました。なにしろ二十一日間、ものをべないでは夜の寒気かんきや雨の日にえきれません。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女は別れる前に、ある晩笹村と外で飲食いをした帰りに、暗い草原の小逕こみちを歩きながら言った。女は口に楊枝ようじくわえて、両手ですそをまくしあげていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
大見晴らしから小仏峠へ出る細径こみちがあります。火はその一点、小仏山の頂上に近いところで起りました。野火というほどのものではありません、まさしく焚火でありましょう。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
果して半畝位の庭があって、細かな草が毛氈もうせんを敷いたように生え、そこのこみちには楊柳やなぎの花が米粒をいたように散っていた。そこに草葺くさぶきの三本柱のあずまやがあって、花の木が枝を交えていた。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
鋏をいれたかとも思はれる樣な丈の揃つた青草の中の小途こみちを、亨一とすず子は上つて行く。途が頂上に達する處に一本の松が立つて居る。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
径路こみちきていわず、東京より秩父に入るの大路は数条ありともいうべきか。一つは青梅線の鉄道によりて所沢に至り、それより飯能はんのうを過ぎ、白子より坂石に至るのみちなり。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
二台の馬車は追ひつ追はれつのかたちで街道を駆け抜けると、再び断崖の中腹を縫ふ螺旋状の径道こみちにさしかゝつた。
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
すなはちこの徑路こみちく、汝そこにて疲れを休むることをうべし、わが汝に答ふるは是のみ、しかして我この事のまことなるを知る。 九四—九六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
導者さきに我あとにたゞふたり登りゆきし徑路こみちよりは間々まま大いなるべし —二四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
その当時の牛込余丁町のお住居は、当今いまのお家のずっと後の方で現今いま小道路こみちになっているあたりに門があった。
古い暦:私と坪内先生 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)