細径こみち)” の例文
旧字:細徑
そこへかんとて菅笠すげがさいただき草鞋わらじはきて出でたつ。車前草おい重りたる細径こみちを下りゆきて、土橋どばしある処に至る。これ魚栖めりという流なり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
大見晴らしから小仏峠へ出る細径こみちがあります。火はその一点、小仏山の頂上に近いところで起りました。野火というほどのものではありません、まさしく焚火でありましょう。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小坂部はもうそれにあらがう気力はなかった。かれは牛飼いに牽かるる仔牛のように、素直に男のあとに付いてゆくと、彼は五、六町ほども細径こみちをたどって、城の大手らしい松並木の広い路に出た。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
竜之助がもと来た道とは全く別な方面、つまり小仏峠へ出る細径こみちのことであります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)