“物淋”の読み方と例文
読み方割合
ものさび100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
歓楽のあとの物淋ものさびしさ、とでも云うような心持が私の胸を支配していました。もっともナオミはそんなものを感じなかったに違いなく
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
葭簀よしずを立掛けた水茶屋の床几しょうぎにはいたずら磨込すりこんだ真鍮しんちゅう茶釜ちゃがまにばかり梢をもれる初秋の薄日のきらきらと反射するのがいい知れず物淋ものさびしく見えた。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
岬の突端の方を当てにして進んで行くほど物淋ものさびしくなって、草深くなって、そうして木立さえ物々しくなるのでありました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)