“ものさび”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
物淋68.0%
物寂28.0%
物寥4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
葭簀よしずを立掛けた水茶屋の床几しょうぎにはいたずら磨込すりこんだ真鍮しんちゅう茶釜ちゃがまにばかり梢をもれる初秋の薄日のきらきらと反射するのがいい知れず物淋ものさびしく見えた。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
入相いりあいの浪も物凄ものすごくなりかけた折からなり、あの、赤鬼あかおに青鬼あおおになるものが、かよわい人を冥土めいど引立ひきたててくようで、思いなしか、引挟ひきはさまれた御新姐ごしんぞは、何んとなく物寂ものさびしい、こころよからぬ
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その深い谷奥の物寥ものさびしい有りさまが、人の世を離れ得ない、未練の残る人々に、何とも云えぬなつかしさを与えるのだ。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)