“ものさ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
物寂81.3%
物差12.5%
物錆6.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
暖か味のない夢に物寂ものさびた夜を明かしけるが、お浪暁天あかつきの鐘に眼覚めて猪之と一所に寝たる床よりそっと出づるも、朝風の寒いに火のないうちから起すまじ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
好き嫌いを測るものは道徳的物差ものさしでない。しかるに好きなものは善い、きらいなものは悪いというように、愛憎あいぞうをもって曲直きょくちょくを決することは、ちょうど物の軽重を計るに差金さしがねを用うるがごとくである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
彩硝子いろガラスの窓からし入る静かな日の光は羅馬ローマ旧教風な聖母マリアの金色の像と、その辺に置いてある古めかしく物錆ものさびた風琴オルガンなどを照して見せた。その番人も仏蘭西人だ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
岸本は高い石の柱の側を選んで、知らない土地の人達と一緒に腰掛けた。古めかしく物錆ものさびた堂の内へ響き渡る少年と大人の合唱の肉声は巨大な風琴オルガンの楽音と一緒に成って厳粛おごそかに聞えて来ていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)