“物寂”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ものさ56.5%
ものさび30.4%
ものさみ8.7%
ものさびし4.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
所は奈良で、物寂ものさびた春の宿にの音が聞えると云う光景が眼前に浮んでまでこれにふけり得るだけの趣味を持って居ないと面白くない。
高浜虚子著『鶏頭』序 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そしてれて、またあたりが物寂ものさびしく、くらくなったときは、おじいさんは、こまどりのはいっているかごをいえなかれて、自分じぶん仕事場しごとばのそばのはしらにかけておきました。
こまどりと酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて盛んな笑声が起る。丑松は素知らぬ顔、屋外そとの方へ向いて、物寂ものさみしいみぞれの空を眺めて居たが、いつの間にか後の方へ気を取られる。聞くとは無しについ聞耳を立てる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
お君はおびえずに済んだが、ひとえに梟の声に耳を澄まして、あわれに物寂ものさびしい顔である。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)