“引立”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひった38.4%
ひきた26.0%
ひきたて15.1%
ひつた11.0%
ひったて2.7%
ひきたた1.4%
ひきたつ1.4%
ひったち1.4%
ひつたて1.4%
ひッたち1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
立騒ぐ召つかいどもを叱りつも細引ほそびきて来さして、しかと両手をゆわえあえず奥まりたる三畳の暗き一室ひとま引立ひったてゆきてそのまま柱にいましめたり。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
番甲 此邊このあたりだらけぢゃ。墓場はかば界隈かいわいさがさっしゃい。さゝ、つけ次第しだいに、かまうたことはい、引立ひきたてめさ。
種々しゆ/″\と取扱ひ漸々やう/\涙金なみだきんとして金五兩つかは勘當かんだうとこそなりにけれ是に因て袋井の者三人はお芳を引立ひきたてつれ歸る然ば九郎兵衞は仕損しそんぜしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
引立ひつたて出づ。十吉は十八九歳、農家の若者。あとよりお米、十六七歳、村の娘にて、うろ/\しながら出づ。つゞいて以前の娘三人も出づ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
直ぐ書生さんにお命じなされ、兎も角もと門外の男もまた男女ふたり引立ひったてようといたす若いものも共にお呼込みに相成りました。
やせたりや/\、病気揚句あげくを恋にせめられ、かなしみに絞られて、此身細々と心引立ひきたたず、浮藻うきも足をからむ泥沼どろぬま深水ふかみにはまり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
社員しやゐん充満みちみちていづれも豪傑然がうけつぜんたり、機会ときにあたれば気は引立ひきたつものなり、元亀げんき天正てんしやうころなれば一国一城のぬしとなる手柄てがらかたからぬが、きしつゝみ真黒まつくろ立続たちつゞけし人も豪傑然がうけつぜんたり
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
一度脳をわずらったりなどしてから、気に引立ひったちがなくなって、温順おとなしい一方なのが、彼女かれには不憫ふびんでならなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
物のわけをもしらぬ者ども、小肘こひぢつかんで引立ひつたて、車一両に二三人づゝ引のせ奉るさへに、若君姫君の御事さま、さても/\といはぬ者なく、其身の事は不申、見物の貴賤もどつなき
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「ナニお前十代の内なら秋毫ちっとも厭味なこたア有りゃしないわネ。アノ方が幾程いくら宜か知れない、引立ひッたちが好くッて」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)