わたし)” の例文
旧字:
野面のづら御影みかげに、乾かぬ露が降りて、いつまでも湿しっとりとながめられるわたし二尺の、ふちえらんで、鷺草さぎそうともすみれとも片づかぬ花が、数を乏しく、行く春をぬすんで、ひそかに咲いている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)