“わた”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ワタ
語句割合
35.8%
16.7%
16.4%
12.7%
綿6.4%
1.6%
1.5%
1.1%
0.9%
0.8%
0.8%
0.8%
0.4%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
交付0.2%
0.2%
0.2%
綿花0.2%
遞與0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
手渡0.1%
0.1%
0.1%
木棉0.1%
木綿0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
渡来0.1%
渡舟0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
逓与0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
入り江の海をみずうみのような形にみせる役をしている細長いみさきの、そのとっぱなにあったので、対岸の町や村へゆくには小舟でわたったり
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
これは余事にわたるが、日本の歴史小説も、史実の詮索せんさくに溺れるよりも、シェクスピーアの偉大さと深さを学ぶべきではあるまいか。
小便の海をわたり歩いて小便壺まで辿たどりつかねばならぬような時もあった。客席の便所があのようでは、楽屋の汚なさが思いやられる。
日本文化私観 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
イヤしかしそなたの質問とい大分だいぶんわし領分外りょうぶんがい事柄ことがらわたってた。産土うぶすなのことなら、わしよりもそなたの指導役しどうやくほうくわしいであろう。
隣のつま綿わたの師匠の家は弟子やら町内の金棒曳かなぼうひきやらでハチ切れるやうなかしましさです、多分この變事の噂でもしてゐるのでせう。
いつはりではけれどくすとはなにを、デハわたしからまをしませう深山みやまがくれのはなのおこゝろひさして莞爾につことすれば、アレわらふてははぬぞよ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……あまつさえ、目の赤い親仁おやじや、襤褸半纏ぼろばんてん漢等おのこら、俗に——云うわた拾いが、出刃庖丁を斜に構えて、このはらわたを切売する。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白いわたのように飛んで、室を目がけて、夕日に光る障子に、羽影をひらめかせる、風が死んで楊の葉はそよとも動かない。
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
岸より一丈あまり下に両岸よりさしむかひたる岩のはなあり、これをたよりとしてはしわたしたる也。
人々ひとびとこころせよ、それはなんじらを衆議所しゅうぎしょわたし、会堂かいどうにてむちうたん。また汝等なんじらわがゆえによりて、つかさたちおうたちのまえかれん。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
北インド咀叉始羅たつさしら国の北界より信度しんど河を渡り東南に行く事二百余里大石門をわたる、昔摩訶薩埵まかさった王子ここにて身を投げて餓えたる烏菟おとを飼えりとある
鼻孔にはわたせんが血ににじんでおり、洗面器は吐きだすもので真赤に染っていた。「がんばれよ」と、次兄は力のこもった低い声で励ました。
廃墟から (新字新仮名) / 原民喜(著)
「ゑぞぶき、此種蝦夷より来る葉甚だ大にして、茎葉白毛あり、旅人急雨の時採って傘に代て雨を凌ぐ、大さわたり六七尺、茎甚だ肥大、柱の如く稜あり高さ七八尺味淡し下品」
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「……イイエ……お神さんが負うて帰らっしゃったかと思うて……わたしゃ……」
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かかるうちにも心にちとゆるみあれば、煌々こうこう耀かがやわたれる御燈みあかしかげにはかくらみ行きて、天尊てんそん御像みかたちおぼろ消失きえうせなんと吾目わがめに見ゆるは、納受のうじゆの恵にれ、擁護おうごの綱も切れ果つるやと
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
起きよ、我儕われら往くべし。我をわたすもの近づきたり、此如かくいへるとき十二の一人ひとりたるユダつるぎと棒とを持ちたる多くの人人とともに祭司のをさと民の長老としよりもとより来る。
接吻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
さばれわたなるそこひには
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
(原註。伊太利の旅を知らぬ人のために註すべし。彼國の車主エツツリノは例として前金を受けず、途中の旅籠はたご一切をまかなひくれたる上、小使錢さへ客に交付わたし、安着の後決算するなり。)
わた越ゆと六騎がともは舟めてきほぎ連れ矢声あげにし (鮟鱇組)
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「芝浦の漁人も網を打忘れ月には厭ふいわし雲かな」といへる狂歌、天明頃の人の咏にあり。青き空の半ほど此雲白くつらなりてわたれる、風情ありて美はし。
雲のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
第八 衣服いふく精粗美惡よしあしひと分限ぶんげんるといへども、肌着はだぎ木綿もめんフラン子ルをよしとす。蒲團ふとん中心なかわたあたらしくかはきたるものをたつとゆゑに、綿花わたかぎらずかま穗苗藁ほわら其外そのほかやわらかかはきたるものをえらぶべし。
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
少女は、いざ藥草を采りて給へと云ひて、右手めてを我にさし着けたり。われは鬼にえきせらるるものゝ如く、岸に登りて彼かぐはしき花を摘み、束ねて少女に遞與わたしつ。
われは遞與わたされたる拳銃を持ちながら、猶身を脱せんとして爭へり。友。彼君は淺はかにも汝になびきしならん。汝は誇らしくも、そを我に、そを羅馬の民に示さんとす。
この類の話し古くインドにもあった。『根本説一切有部毘奈耶破僧事こんぽんせついっさいうぶびなやはそうじ』十八から十九巻にわたって、長々と出居る。なるべく短く述べるとこうだ。
サウシーの『コンモン・プレイス・ブック』四輯に、コングリーヴの一犬ペンクリッジ寺の修繕一年にわたり誰も詣でざるに、日曜ごとに独り欠かさず詣でたと載す。
矮い偃松を蹈みわたって、ぼろぼろに岩の崩れた山稜を登って行く、脚の下は霧のめた深いガレのようだ。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
ユスチニアーヌス帝のディゲスタ法典に拠れば、もし近辺に河海なきときは、猛獣にわたしてその身体を裂かしむとある。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
名は雇人なれども客分にあつかはれ、手代となり、顧問となりて、あるじの重宝大方ならざれば、四年よとせひさしきにわたれども主は彼をいだすことを喜ばず、彼もまた家をかまふる必要無ければ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わすれもしませぬ、それはわたくし三浦家みうらけ嫁入よめいりするおりのことでございました、はは一振ひとふりりの懐剣かいけんわたくし手渡わた
寛保元年(千七百四十一年)においては、露国の海艦ベーリング、亜細亜アジア亜米利加アメリカ頸首けいしゅたる海峡をわたり、白令ベーリング海の名これより起れり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
周防すはの海かぜふきかはりみなのわた黒雲いでて秋の雨ふる
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
饑饉年が来るから用心しなさいと言って、その晩、夜どおし触書ふれがきをつくって諸方へ廻して、皆の者に勧めることには、明地あきち空地くうちは勿論のこと、木棉わたを植えた畑をつぶしてもいいから
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
深山幽僻しんざんいうへきの地なればかひこはもとより木綿わたをもしやうぜざるゆゑ、衣類いるゐとぼしき事おしてしるべし。
ここにその建御名方の神の手を取らむと乞ひわたして取れば、若葦を取るがごと、つかひしぎて、投げ離ちたまひしかば、すなはち逃げにき。
天皇や地主・資本家等の、労働者・農民、勤労大衆の搾取と抑圧の上に安住している者共が支配していないで、働く者が政治権力を持ち、経済、文化のすべてにわたって支配しているからだ。
天帝釈化して猴となり身に疥癬を病めり、来り進んで猴衆に石を負わせ、海をふたがしめ衆わたるを得とあり。『宝物集』にも似た事を記す。
新しく琉球りゅうきゅうから渡来わたってきた三味線を工夫したり、またその三味線を基礎にして今様いまようの歌謡ができて来たり、その派生から隆達りゅうたつぶしだの上方唄だのが作られたり、そういったものは
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翌々日、二人は、手筈てはずしめし合わせて、向島から竹屋へ渡舟わたった。二人の後から五、六名の捕手とりてが、平和な顔をして、歩いて行った。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土地では數代にわたる家柄で、暖簾のれんの信用も一と通りでなく、代々蓄積した富も、容易ならぬものがあるでせう。
摂津守を総督そうとくに任じて随行ずいこうには勝麟太郎かつりんたろう(今の勝安芳やすよし)以下長崎伝習生でんしゅうせいを以てし、太平洋をわたりて北米ほくべい桑港サンフランシスコくことを命じ、江戸湾を解纜かいらんしたるは、実に安政あんせい六年十二月なり。
はも河豚ふぐ赤魚あかお、つばす、牡蠣かき、生うに、比目魚ひらめの縁側、赤貝のわたくじらの赤身、等々を始め、椎茸しいたけ松茸まつたけたけのこかきなどに迄及んだが、まぐろは虐待して余り用いず、小鰭こはだ、はしら、青柳あおやぎ
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「露八、これを持って、今夜わたる春日丸に便乗させてもらえ。大坂までは、これで行ける。……だが、大坂にも永くいるなよ。仔細しさいは云えんが、当分、もっと無事な所へ行け。いいか」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(此一條三國通覽より抄ス。) 然るに古今經世之事併籌海守禦之事をとくに、皆是封内の事のみにして其邊海にわたるものなし。
他計甚麽(竹島)雑誌 (旧字旧仮名) / 松浦武四郎(著)
氏はただちにそれを逓与わたして、わたしはこれはらない、と云いながら、見つけたものが有るのか、ちょっと歩きぬけて、百姓家ひゃくしょうや背戸せど雑樹籬ぞうきがきのところへ行った。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
初々うい/\しき大島田おほしまだわたのやうにしぼりばなしふさ/\とかけて、鼈甲べつかうのさしこみふさつきのはなかんざしひらめかし、何時いつよりは極彩色ごくさいしきのたゞ京人形きようにんげうるやうにおもはれて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
殺婦長者既に多くの妻を先立てし罪業をおそれ、新妻を娶るとぐさま所有あらゆる鎖鑰じょうかぎを彼女にわたし、わが家の旧法仏僧に帰依すれば、汝も随時僧に給事して、おこたるなかれというた。
幽山にのぼるの興はのぼりつきたる時にあらず、荒榛くわうしんひらき、峭※せうがくわたる間にあるなり、栄達はうらやむべきにあらず、栄達を得るに至るまでの盤紆はんうこそ、まことにきんすべきものなるべし。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)