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渡
>
わた
ふりがな文庫
“
渡
(
わた
)” の例文
四国
(
しこく
)
の
島
(
しま
)
へ
渡
(
わた
)
って、
海
(
うみ
)
ばたの
村
(
むら
)
を
托鉢
(
たくはつ
)
して
歩
(
ある
)
いているうちに、ある日いつどこで
道
(
みち
)
を
間違
(
まちが
)
えたか、山の中へ
迷
(
まよ
)
い
込
(
こ
)
んでしまいました。
人馬
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
入り江の海を
湖
(
みずうみ
)
のような形にみせる役をしている細長い
岬
(
みさき
)
の、そのとっぱなにあったので、対岸の町や村へゆくには小舟で
渡
(
わた
)
ったり
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
私
(
わたし
)
は
其時分
(
そのじぶん
)
は
何
(
なん
)
にも
知
(
し
)
らないで
居
(
ゐ
)
たけれども、
母様
(
おつかさん
)
と
二人
(
ふたり
)
ぐらしは、この
橋銭
(
はしせん
)
で
立
(
た
)
つて
行
(
い
)
つたので、
一人前
(
ひとりまへ
)
幾于宛
(
いくらかづゝ
)
取
(
と
)
つて
渡
(
わた
)
しました。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
日
(
ひ
)
が
輝
(
かがや
)
いて、
暖
(
あたた
)
かな
風
(
かぜ
)
が、
柔
(
やわ
)
らかな
草
(
くさ
)
の
上
(
うえ
)
を
渡
(
わた
)
るときは、
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
と
唄
(
うた
)
の
声
(
こえ
)
は、もつれあって、
明
(
あか
)
るい
南
(
みなみ
)
の
海
(
うみ
)
の
方
(
ほう
)
に
流
(
なが
)
れてゆきました。
港に着いた黒んぼ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
白髯
(
しらひげ
)
の
渡
(
わた
)
し。……隅田川に残っているたった一つの渡しである……といっても、それとて、むかしのまんま残ってはいないのである。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
▼ もっと見る
しかし
私
(
わたくし
)
は三
途
(
ず
)
の
川
(
かわ
)
らしいものを
渡
(
わた
)
った
覚
(
おぼ
)
えはない……
閻魔様
(
えんまさま
)
らしいものに
逢
(
あ
)
った
様子
(
ようす
)
もない……
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やらさっぱり
腑
(
ふ
)
に
落
(
お
)
ちない。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「よろしゅうございます。
南十字
(
サウザンクロス
)
へ
着
(
つ
)
きますのは、
次
(
つぎ
)
の
第
(
だい
)
三時ころになります」
車掌
(
しゃしょう
)
は紙をジョバンニに
渡
(
わた
)
して
向
(
む
)
こうへ行きました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
出合頭
(
であいがしら
)
に突当ろうとしたのは、やはり二人づれの酔どれ、どこぞの部屋の
渡
(
わた
)
り
仲間
(
ちゅうげん
)
と見える。よくない相手にとっつかまった兵馬は
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
両岸から
鉄線
(
はりがね
)
で
吊
(
つ
)
ったあぶなげな仮橋が川を
跨
(
また
)
げて居る。橋の口に立札がある。
文言
(
もんごん
)
を読めば、曰く、五人以上同時に
渡
(
わた
)
る可からず。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
渡
(
わた
)
りや繁殖の状態を調べるために、春は富士の
裾野
(
すその
)
、夏は
蓼科
(
たでしな
)
という工合に、年じゅう小鳥のあとばかり追っかけてあるいている。
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
之
(
これ
)
は
政府
(
せいふ
)
の
指導
(
しだう
)
又
(
また
)
は
消費節約
(
せうひせつやく
)
の
奬勵
(
しやうれい
)
の
行
(
ゆ
)
き
渡
(
わた
)
つたと
云
(
い
)
ふよりも、
寧
(
むし
)
ろ
國民自體
(
こくみんじたい
)
が
此
(
こ
)
の
事柄
(
ことがら
)
の
必要
(
ひつえう
)
を
感
(
かん
)
じて
居
(
を
)
つたからだと
思
(
おも
)
ふのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
それは、しろ公を、
例
(
れい
)
の「さっぱ船」にのせ、自分が船をこいで、とうとうおっかさんのお
里
(
さと
)
まで、
入江
(
いりえ
)
を
渡
(
わた
)
ってしまったのです。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
そこで
天皇
(
てんのう
)
は
大勢
(
おほぜい
)
の
家來
(
けらい
)
たちをおつれになりその
長
(
なが
)
い/\
丸木橋
(
まるきばし
)
の
上
(
うへ
)
をお
渡
(
わた
)
りになつたといふことが、
日本書紀
(
につぽんしよき
)
といふ
本
(
ほん
)
に
出
(
で
)
てゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
「片言もって
獄
(
ごく
)
を
折
(
さだ
)
むべきものは、それ
由
(
ゆう
)
か」などという孔子の
推奨
(
すいしょう
)
の辞までが、
大袈裟
(
おおげさ
)
な
尾鰭
(
おひれ
)
をつけて
普
(
あまね
)
く知れ
渡
(
わた
)
っていたのである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ぼくも
臆面
(
おくめん
)
なく——かにかくにオリムピックの
想
(
おも
)
い
出
(
で
)
となりにし人と土地のことかな、——と書きなぐり、中村嬢に
渡
(
わた
)
しておきました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「おい
是
(
これ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
其所
(
そこ
)
へ
置
(
お
)
いて
呉
(
く
)
れ」と
渡
(
わた
)
すと、
清
(
きよ
)
は
妙
(
めう
)
な
顏
(
かほ
)
をして、
不思議
(
ふしぎ
)
さうにそれを
受取
(
うけと
)
つた。
御米
(
およね
)
は
奧
(
おく
)
で
座敷
(
ざしき
)
へ
拂塵
(
はたき
)
を
掛
(
か
)
けてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「では、われわれと
大久保家
(
おおくぼけ
)
の
臣
(
しん
)
と、武技をたたかわせたうえに、その勝ったるほうへ、
咲耶子
(
さくやこ
)
を
渡
(
わた
)
してくださるというのですな」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それからふたりは、若い者たちに、スカンポの森をみんなゆずり
渡
(
わた
)
して、しょっちゅう口にしていることを、言い聞かせました。
幸福な一家
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
夫
(
それ
)
では
引導
(
いんだう
)
を
渡
(
わた
)
して
上
(
あ
)
げよう。グワン/\と
鉦
(
かね
)
を
打鳴
(
うちなら
)
し、和「
南無喝囉怛那
(
なむからたんの
)
、
哆羅夜耶
(
とらやや
)
、
南無阿唎耶
(
なむおりや
)
、
婆慮羯諦爍鉢羅耶
(
ばりよぎやていしふふらや
)
、
菩提薩※婆耶
(
ふちさとばや
)
。 ...
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仕方
(
しかた
)
がない
矢張
(
やつぱ
)
り
私
(
わたし
)
も
丸木橋
(
まるきばし
)
をば
渡
(
わた
)
らずはなるまい、
父
(
とゝ
)
さんも
踏
(
ふみ
)
かへして
落
(
おち
)
てお
仕舞
(
しまい
)
なされ、
祖父
(
おぢい
)
さんも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
であつたといふ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
わたしは、つんつるてんの短い上着を着たまま、じっとそこに
突
(
つ
)
っ
立
(
た
)
って、
死刑
(
しけい
)
を言い
渡
(
わた
)
された
囚人
(
しゅうじん
)
よろしくのていで
床
(
ゆか
)
を見つめていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
それも思えば一家の貧窮がKの心に
染
(
し
)
み
渡
(
わた
)
ったしるしだった。君はひとりになると、だんだん暗い心になりまさるばかりだった。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
余
(
よ
)
前年
(
さきのとし
)
江戸に
在
(
あり
)
し時右の事を
先
(
さき
)
の
山東翁
(
さんとうをう
)
にかたりしに、
翁
(
をう
)
曰
(
いはく
)
世路
(
せいろ
)
の
灘
(
なだ
)
は
総滝
(
そたき
)
よりも危からん、世は
足
(
あし
)
もとを見て
渡
(
わた
)
るべきにやとて
笑
(
わら
)
へり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
堪
(
た
)
え
難
(
がた
)
き
恐
(
おそろ
)
しさは
電
(
いなづま
)
の
如
(
ごと
)
く
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
に
閃
(
ひらめ
)
き
渡
(
わた
)
って、二十
有余年
(
ゆうよねん
)
の
間
(
あいだ
)
、どうして
自分
(
じぶん
)
はこれを
知
(
し
)
らざりしか、
知
(
し
)
らんとはせざりしか。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
この天皇の
御代
(
みよ
)
には、
新羅
(
しらぎ
)
の国の人がどっさり
渡
(
わた
)
って来ました。
武内宿禰
(
たけのうちのすくね
)
はその人々を使って、方々に田へ水を取る池などを
掘
(
ほ
)
りました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
女はたちまち帰り来りしが、
前掛
(
まえかけ
)
の下より現われて膳に
上
(
のぼ
)
せし
小鉢
(
こばち
)
には
蜜漬
(
みつづけ
)
の
辣薑
(
らっきょう
)
少し
盛
(
も
)
られて、その
臭気
(
におい
)
烈
(
はげ
)
しく
立
(
た
)
ち
渡
(
わた
)
れり。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
よくも
検
(
しら
)
べず
下
(
さ
)
げ
渡
(
わた
)
したもので、引取人の乙吉が生れつきの粗忽者であることを知らなかったせいであると、
当直
(
とうちょく
)
は断定した。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「……それじゃけに……引導をば……
渡
(
わた
)
いてくれたとぞ……貴様を……
殺
(
ころ
)
いたとは……このオレサマぞ……アハ……アハ……」
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おつぎは二
町
(
ちやう
)
ばかり
上流
(
じやうりう
)
の
板橋
(
いたばし
)
を
渡
(
わた
)
つて
行
(
い
)
つて、
漸
(
やうや
)
くのことで
枝
(
えだ
)
を
曲
(
ま
)
げて
其
(
その
)
針
(
はり
)
をとつた。さうして
又
(
また
)
與吉
(
よきち
)
の
棒
(
ぼう
)
へ
附
(
つ
)
けてやつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
お馬のジヤンコジヤンコもおもしろいでせう。それにまた、「そりやまだ
若
(
わか
)
い。
若船
(
わかぶね
)
に
乗
(
の
)
つて、
唐
(
から
)
まで
渡
(
わた
)
れ。」(紀伊)といふのもあります。
お月さまいくつ
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ミシンや
裁台
(
たちだい
)
などの据えつけに、それでも
尚
(
なお
)
足りない分を、お島の顔で
漸
(
やっ
)
と工面ができたところで、二人の
渡
(
わた
)
り
職人
(
しょくにん
)
と小僧とを傭い入れると
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
四十
文
(
もん
)
にて
買
(
かひ
)
炮烙
(
はうろく
)
にて是を
煎
(
いり
)
金紙
(
きんがみ
)
に包み
鄭重
(
たいそう
)
らしくしてお
常
(
つね
)
に密と
渡
(
わた
)
しければお常は
喜
(
よろこ
)
び
金子
(
きんす
)
を玄柳に
遣
(
つかは
)
しお
熊
(
くま
)
倶々
(
とも/″\
)
厚
(
あつ
)
く禮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此後
(
こののち
)
、
杉村氏
(
すぎむらし
)
は、
東京朝日
(
とうきやうあさひ
)
の
世界
(
せかい
)
一
周
(
しう
)
會員
(
くわいゐん
)
と
共
(
とも
)
に、
米國
(
べいこく
)
に
渡
(
わた
)
り、ボストンにて
圖
(
はか
)
らずモールス
氏
(
し
)
に
面會
(
めんくわい
)
し、
余等
(
よら
)
と
共
(
とも
)
に
大森貝塚發掘
(
おほもりかひづかはつくつ
)
の
事
(
こと
)
を
語
(
かた
)
り
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
天
(
あま
)
の
戸
(
と
)
渡
(
わた
)
る梶の葉に思ふこと書く頃も過ぎ、
何時
(
いつ
)
しか秋風の哀れを送る夕まぐれ、露を命の蟲の音の葉末にすだく聲悲し。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
それから半年ほどたつた
時
(
とき
)
、ちの一万二千三百七十五
号
(
がう
)
の△△
債劵
(
さいけん
)
は
仲買
(
なかがひ
)
人を
※
(
へ
)
て、ある田
舍
(
なか
)
の大
地主
(
ぢぬし
)
の
手
(
て
)
に
渡
(
わた
)
つてゐた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
和歌
(
わか
)
の
浦
(
うら
)
に
潮
(
しほ
)
がさして
來
(
く
)
ると、
遠淺
(
とほあさ
)
の
海
(
うみ
)
の
干潟
(
ひがた
)
がなくなるために、ずっと
海岸
(
かいがん
)
近
(
ちか
)
くに
葦
(
あし
)
の
生
(
は
)
えてゐるところをめがけて、
鶴
(
つる
)
が
鳴
(
な
)
いて
渡
(
わた
)
つて
來
(
く
)
る。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
『
大佐
(
たいさ
)
來
(
きた
)
!
大佐
(
たいさ
)
來
(
きた
)
る!
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
の
電光艇
(
でんくわうてい
)
來
(
きた
)
る※。』と
叫
(
さけ
)
ぶ
響
(
ひゞき
)
は
砲聲
(
ほうせい
)
の
絶間
(
たえま
)
、
全艦
(
ぜんかん
)
に
鳴
(
な
)
り
渡
(
わた
)
ると、
軍艦
(
ぐんかん
)
「
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
」の
士官
(
しくわん
)
水兵
(
すいへい
)
一時
(
いちじ
)
に
動搖
(
どよ
)
めき。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「
俺
(
おれ
)
の祖先は、
渡
(
わた
)
り者かも知れない。魚を
捕
(
と
)
ってカツカツ食って行ったのであろう」そういいながらも、
貧乏
(
びんぼう
)
をして何日も飯が食えぬと私を叩き
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
月島
(
つきしま
)
の
埋立工事
(
うめたてこうじ
)
が出来上ると共に、
築地
(
つきぢ
)
の海岸からは
新
(
あらた
)
に
曳船
(
ひきふね
)
の渡しが出来た。
向島
(
むかうじま
)
には人の知る
竹屋
(
たけや
)
の
渡
(
わた
)
しがあり、
橋場
(
はしば
)
には
橋場
(
はしば
)
の
渡
(
わた
)
しがある。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それらは
當時
(
とうじ
)
支那
(
しな
)
から
渡
(
わた
)
つた
石材
(
せきざい
)
を
取
(
と
)
り
寄
(
よ
)
せて、つくつたものと
思
(
おも
)
はれます。またこの
美
(
うつく
)
しい
楕圓形
(
だえんけい
)
の
石
(
いし
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
穴
(
あな
)
のあるものなどもあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
それから、
渡
(
わた
)
し
守
(
もり
)
が年がら年じゅういったりきたりして、ひとをわたしているのに、かわりの人がさっぱりこないというのは、どうしてなんですか。
三本の金の髪の毛をもっている鬼
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
「さようでございますか。そこで、富士見の馬場へ飛びこんでみますと、大分の人数が
渡
(
わた
)
り
合
(
あ
)
っておりますので……」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
結局お辰はいい負けて、素手では帰せぬ羽目になり、五十銭か一円だけ身を切られる
想
(
おも
)
いで
渡
(
わた
)
さねばならなかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「メモ用の紙が一枚、机の足のところにおちていたのを、来るとすぐひろいあげて、ぼくに
渡
(
わた
)
してくれたんです。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
しかし一度発覚され、知れ
渡
(
わた
)
った限りは、役目として、それを取調べなければならなかった。犯人をせんさくし出さなければ、役目がつとまらなかった。
穴
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
岡町
(
をかまち
)
で
中食
(
ちうじき
)
をして、
三國
(
みくに
)
から
十三
(
じふそ
)
の
渡
(
わた
)
しに
差
(
さ
)
しかゝつた
時
(
とき
)
は、もう
七
(
なゝ
)
つ
頃
(
ごろ
)
であつた。
渡船
(
とせん
)
が
込
(
こ
)
み
合
(
あ
)
つてゐるので、
玄竹
(
げんちく
)
は
路
(
みち
)
の
片脇
(
かたわき
)
へ
寄
(
よ
)
つて、
待
(
ま
)
つてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そのころは、
渡
(
わた
)
り鳥たちはよその国へいってしまい、ネズミたちは
凍
(
こお
)
った地面の下にかくれ、ニワトリたちは小屋の中にとじこめられていたのですから。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
数旬を
経
(
へ
)
て
病
(
やまい
)
癒
(
いえ
)
て
退院
(
たいいん
)
せんとする時、その諸費を
払
(
はら
)
わんとせしに
院吏
(
いんり
)
いう、君の
諸入費
(
しょにゅうひ
)
は
悉皆
(
しっかい
)
福沢氏より
払
(
はら
)
い
渡
(
わた
)
されたれば、もはやその事に及ばずとなり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
さて
我楽多文庫
(
がらくたぶんこ
)
の名が
漸
(
やうや
)
く
書生間
(
しよせいかん
)
に知れ
渡
(
わた
)
つて来たので、
四方
(
しはう
)
から入会を
申込
(
まをしこ
)
む、社運隆盛といふ
語
(
ことば
)
を
石橋
(
いしばし
)
が
口癖
(
くちぐせ
)
のやうに言つて
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
ゐ
)
たのは
此頃
(
このころ
)
でした
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
竹
(
たけ
)
の
中
(
なか
)
から
拾
(
ひろ
)
つてこの
年月
(
としつき
)
、
大事
(
だいじ
)
に
育
(
そだ
)
てたわが
子
(
こ
)
を、
誰
(
だれ
)
が
迎
(
むか
)
へに
來
(
こ
)
ようとも
渡
(
わた
)
すものではない。もし
取
(
と
)
つて
行
(
い
)
かれようものなら、わしこそ
死
(
し
)
んでしまひませう
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
渡
常用漢字
中学
部首:⽔
12画
“渡”を含む語句
鳥渡
渡船
渡世
沢渡
古渡
渡舟
世渡
申渡
譲渡
渡口
見渡
渡頭
渡船場
手渡
渡辺
渡渉
渡御
渡島
大渡
渡瀬
...