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総滝
余前年江戸に
在し時右の事を
先の
山東翁にかたりしに、
翁曰世路の
灘は
総滝よりも危からん、世は
足もとを見て
渡るべきにやとて
笑へり。
その
総滝とは川はゞはおよそ百
間ちかくもあるべきに、大なる
岩石竜の
臥たるごとく
水中にあるゆゑに、おとしくる水これに
激して滝をなす也。
総滝とは
新潟の
湊より四十余里の川上、
千隈川のほとり
割野村にちかき所の
流にあり。
信濃の
丹波島より
新潟までを流るゝ
間に
流の
滝をなすはこゝのみなり。