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小鉢
女はたちまち帰り来りしが、
前掛の下より現われて膳に
上せし
小鉢には
蜜漬の
辣薑少し
盛られて、その
臭気烈しく
立ち
渡れり。
火箸が
眞ッ
先に
飛んで
來て、それから
續いて
肉汁鍋や、
皿や
小鉢の
雨が
降つて
來ました。
公爵夫人は、
其等が
我が
身を
打つをも
平氣で
居りました。
「そうれお
前等注えで
遣んのにそんな
小鉢なんぞ
桶の
上さ
突出させちや
畢へねえな、それだらだら
垂ツらあ、
柄杓そつちへおん
出して
行るもんだ」